月収11万円でも生活保護を受けない49歳男性の理由と就職氷河期世代の実情
月収11万円でも生活保護を受けない49歳男性の理由

「現金とっぱらい」の現場で「口座残高は209円ですよ。見ますか?」――そんな言葉が日常となった49歳男性が、月収11万円でも生活保護を受けない理由に迫る。就職氷河期世代の彼は、日払いの仕事を中心に生活している。

日払い仕事の実態と選択理由

イベント系の日払い仕事は土日が現場になることが多い。しかし、来月の仕事があるかどうかはわからない不安定さが常につきまとう。1年ほど前からは、スキマバイトアプリ「タイミー」にも登録した。

「飲食系の仕事には入らないですが、タイミーもやっています。僕が選んでいるのは一般家庭の不用品を運び出す仕事です。4〜5時間やって5000円ぐらいですね。交通費が出ないので近場でないと行きません。こういう日払いの仕事を20代で経験するならいいですけど、もう49歳ですからね」と年齢を気にする。

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日払いの魅力について聞くと、「やりたくなければ断れる。そこは自由っちゃ自由ですね。昔、腰をやっちゃってるので、若い頃から建築系の日払いはやったことがありません。あと満員電車が嫌いなんです。同じ現場に通う仕事もしたことがありますが、満員電車が嫌で辞めちゃいました。あとは、現場にむかつく人がいても、その日一日我慢すれば終わるのがいい点ですね」と語る。

正社員を目指しゲームセンターに10年勤務

戸田正和(仮名)は、母の故郷である九州で生まれたが、すぐに引っ越し、東京近郊の神奈川県の街で育った。その街には祖父が起こしたアルマイトの工場があった。父は典型的な2代目のバカ社長で、不倫もしており、ろくな思い出がないという。祖母と母も折り合いが悪く、父も助けるわけでもなく、夫婦喧嘩も多かった。中学に上がる頃、両親は離婚し、妹と一緒に母についていった。

母親は二人の子どもを育てるために、パート仕事だけでなく、水商売も掛け持ちした。「母には、かなり苦労をかけました。僕も家にお金がないのはわかっていたので、高校は公立に行き、大学は諦めました。漫画、アニメ、ゲームが好きだったので、将来はゲーム制作者になりたいという夢はあり、いくつか会社も受けました。だけど、ゲームの専門学校に行く余裕はなく、近い仕事と思い17歳の高校生のとき、ゲームセンターのアルバイトを始めました」

その後、アルバイトの立場のままゲームセンターで10年近く働くことになる。「ゲームセンターのバイトからがんばれば正社員になれるかもと思っていたんです。でも業界の景気が悪くなり、結局、正社員にはなれませんでした。時給は最初は700円で、途中で790円くらいになったと思います。1日6300円くらいで、月12万円くらいはもらっていました。それだけでは足りなくて、ほかにもコンビニの夜勤、レストランのウェイターなどを掛け持ちした時期もあります」

生活保護を受けない理由

月収11万円でも生活保護を受けない理由について、戸田は「生活保護を受けると、自由がきかなくなる。働けるのに働かないと思われるのが嫌だし、周りの目も気になる。今の仕事は不安定だけど、自分で選んだ自由がある」と語る。また、正社員という立場に対しては「責任が重くて、縛られる感じがする。今の日払いの方が気が楽だ」とも述べている。

就職氷河期世代として、正社員の道を閉ざされた経験が、現在の生き方に影響を与えている。戸田のように、不安定な日払い仕事を選ぶ理由は、自由と引き換えに安定を捨てる選択でもある。

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