6月は国民の祝日がなく、年間で唯一の平日休みがない月だ。5月の大型連休が終わると、7月の「海の日」(第3月曜日)まで約2カ月半、祝日がない期間が続く。このため、疲労が蓄積しやすい6月に有給休暇を取りたいと思う人は少なくない。
有給休暇は労働者の権利であり、企業側も取得推進の動きを強めている。しかし、制度が整いつつある一方で、「休みたいのに言い出しづらい」「申請するだけで気を遣う」と感じた経験がある人は多い。特に人手不足や業務量増加が続く職場では、自分が休むことで周囲に負担をかける不安を抱く場面もある。
調査概要:約6割が気まずさを経験
マイナビニュースは、会員301人を対象に「有給休暇の申請時に気まずさを感じた理由」についてアンケート調査を実施した(2026年6月16日、インターネットログイン式)。まず、「有休申請で気まずさを感じたことはありますか?」との質問に対し、「よくある」(25.6%)と「ときどきある」(31.2%)を合わせた56.8%が経験ありと回答。約5人に3人が気まずさを感じたことがある。
ランキング結果:1位は「周囲が忙しそう」
気まずさを感じた経験がある回答者に、その理由を尋ねたところ、以下のランキングとなった。
- 周囲が忙しそうだった(26.9%)
- 人手不足だった(18.7%)
- 上司に言い出しにくかった(18.1%)
- 特に理由はないが空気的に取りづらい(17.0%)
- 同僚に申し訳なく感じた(12.3%)
- 理由を聞かれそうだった(9.3%)
1位:周囲が忙しそうだった(26.9%)
最多は「周囲が忙しそうだった」で、26.9%。有給休暇の取得自体に問題がなくても、自分が休むことで周囲の負担が増えると考え、申請をためらった人が多い。職場ではチームで業務を進めるケースが多く、個人の業務が周囲と密接につながっている。そのため、忙しそうな同僚やチームメンバーの姿を見ると、「今休んでいいのだろうか」という心理が働きやすくなる。制度上の問題ではなく、協調性を重視する職場文化が影響している可能性がある。
回答者の声:
- 「忙しいときに休むのが申し訳なく感じた」(41歳・女性)
- 「人数が少なく、忙しい時期に申請はしづらい。そういうときに限って周囲も申請しようとするからなおさらしづらい」(41歳・男性)
- 「周りが忙しそうなのに自分の仕事を依頼するのは気が引けた」(44歳・女性)
- 「『このクソ忙しい最中に休むのか』という空気感を出される」(49歳・男性)
- 「結局休んだ分、自分に業務がのっかってくるわけだし」(44歳・男性)
2位:人手不足だった(18.7%)
2位は「人手不足だった」で18.7%。十分な人数が確保できていない状況では、自分が休むことで現場が回らなくなる不安を抱く人が少なくない。慢性的な人手不足を課題とする企業も多く、特定の人に業務が集中しやすい職場も存在する。有給休暇の取得を妨げているのは制度ではなく、欠員が出た際のカバー体制の不足であるケースも考えられる。
回答者の声:
- 「次々に人が辞める会社にいたときで、一人休むと誰かが無茶な連勤を強いられる環境だった」(40歳・男性)
- 「常に人不足なので、有給休暇の申請がしにくい」(46歳・女性)
- 「ぎりぎりの人数で回しているので有給休暇が取れない」(42歳・男性)
- 「人手不足で他の人に負担をかけそうで気まずかった」(45歳・女性)
- 「趣味のライブで有給休暇を取るときに嫌味を言われたことがあったので、気まずい思いをした」(44歳・男性)
3位:上司に言い出しにくかった(18.1%)
3位は「上司に言い出しにくかった」で18.1%。申請ルールは整っていても、上司との関係性によって心理的なハードルを感じる人が一定数いる。職場では評価者である上司への遠慮が生まれやすく、忙しそうな様子や厳しい雰囲気が申請のしづらさにつながる。実際には許可される場合でも、申請前の段階で躊躇してしまうケースは珍しくない。
回答者の声:
- 「有給休暇取得の理由やタイミングについて指摘される可能性があるから」(42歳・男性)
- 「上司と有給休暇の希望日がかぶってしまい言いにくかった」(44歳・女性)
- 「休んでいても顧客対応を求められる職場なので、有給休暇を出すたびに毎回チクリと言われる」(48歳・女性)
- 「上司が取りにくそうにしている」(41歳・男性)
- 「口では『有給休暇を取れよ』と言いながら自分は取らない。毎回切り出すのが申し訳なく感じる」(44歳・男性)
4位:特に理由はないが空気的に取りづらい(17.0%)
4位は「特に理由はないが空気的に取りづらい」で17.0%。明確な反対や制約がなくても、職場の雰囲気によって取得をためらう人が一定数いる。職場には言語化されていない暗黙のルールが存在する場合があり、周囲があまり有給休暇を取っていない環境では、自分だけ休むことへの心理的抵抗が生まれやすくなる。
回答者の声:
- 「年次休暇を消化するという文化がない」(45歳・女性)
- 「やはり周りが誰も有給休暇を取っていなかったことです」(47歳・男性)
- 「同僚が全然有休を取らないため」(47歳・女性)
- 「単なる有給休暇の消化は言いだしづらい」(46歳・男性)
5位:同僚に申し訳なく感じた(12.3%)
5位は「同僚に申し訳なく感じた」で12.3%。自分の不在によって業務を引き継いでもらうことへの負い目を感じる人もいる。業務の属人化が進んでいる職場では、休暇取得時に周囲への負担が大きくなりがちだ。人間関係を大切にしたい気持ちが、有給休暇取得への遠慮につながるケースも考えられる。
回答者の声:
- 「なんとなく罪悪感を覚えてしまう」(25歳・女性)
- 「持ち場が同じ同僚に対して、負担をかけて申し訳なく思う」(35歳・男性)
- 「私が休みのときに他の人は働いているから」(37歳・女性)
6位:理由を聞かれそうだった(9.3%)
6位は「理由を聞かれそうだった」で9.3%。有給休暇の理由を詳しく説明したくないと考える人も一定数存在する。制度上は取得理由を細かく説明する必要がない場合でも、慣習的に理由を尋ねる文化が残っている職場もある。プライベートな事情を話したくないという意識が、申請への抵抗感につながることも考えられる。
回答者の声:
- 「長期間の有休だったため、上司に根掘り葉掘り聞かれた」(42歳・男性)
- 「遊びでの有給休暇だったので理由をあまり言いたくなかった」(49歳・女性)
- 「私用と記載したが理由を聞かれた」(40歳・男性)
- 「理由はプライベートだから聞かないで」(34歳・女性)
共通傾向:周囲への配慮が取得を妨げる
上位回答の多くに共通していたのは、「休むこと」そのものではなく「周囲への配慮」だった。有給休暇の取得をためらう背景には、職場の人間関係や業務分担への気遣いが大きく影響している。働き方改革によって有休取得率は改善傾向にある一方で、現場では人手不足や業務過多といった課題が続く。制度と現実の間にあるギャップが、今回の結果にも表れている。
有給休暇取得に関するFAQ
Q. 有給休暇は権利なのに、なぜ取得しづらいと感じる人が多いのでしょうか?
有給休暇は法律で認められた権利だが、実際には職場の人間関係や業務状況が心理的なハードルになる。今回の調査では、「周囲が忙しそうだった」が26.9%で最多。また、「人手不足だった」「上司に言い出しにくかった」なども上位に入り、制度そのものではなく職場環境が取得のしづらさにつながっている。
Q. 有給休暇の理由は会社に詳しく説明しなければいけませんか?
一般的には、有給休暇の取得理由を詳細に説明する義務はない。しかし、今回の調査では9.3%が「理由を聞かれそうだった」と回答。制度上のルールと現場の慣習が一致していないケースもあり、「私用」とだけ伝えたい人が心理的な負担を感じることがある。
Q. 周囲が忙しいときに有給休暇を取るのは迷惑になりますか?
有給休暇の取得自体は労働者の正当な権利。一方で、今回の調査では「周囲が忙しそうだった」が最多となり、自分の不在によって同僚に負担をかけることへの申し訳なさを感じる人が少なくない。職場によっては業務の引き継ぎや情報共有を事前に行うことで、周囲の負担を軽減できる場合もある。
Q. 有給休暇が取りやすい職場にはどのような特徴がありますか?
有給休暇が取りやすい職場では、休暇取得が特別なことではなく、日常的な文化として定着している傾向がある。今回の調査では「特に理由はないが空気的に取りづらい」という回答が17.0%あり、反対に言えば、上司や同僚が普段から有給休暇を取得している職場では心理的なハードルが下がりやすい。
Q. 人手不足の職場では有給休暇を諦めるしかないのでしょうか?
人手不足であっても、有給休暇を取得する権利がなくなるわけではない。ただし、今回の調査では18.7%が「人手不足だった」と回答し、制度と現場の実情との間にギャップがある。特定の人に業務が集中しない体制づくりや、休暇取得を前提とした業務設計が今後ますます重要になる。
有給休暇は誰もが利用できる制度である。今回の調査からは、制度の整備だけでなく、安心して休める職場文化づくりが重要なテーマであることが浮き彫りになった。



