定年後の生活設計において、多くの人が「年金だけで暮らせるのか」という不安を抱えています。一方で、65歳を過ぎても働き続ける高齢者は増加傾向にあり、企業の高齢者雇用確保措置の実施率はほぼ100%に達しています。では、実際に働くシニア世代はどの程度の収入を得ているのでしょうか。本記事では『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(横山光昭・関口博美/小学館)から、高齢者の就労と収入の実態を紹介します。
99.9%の企業が高齢者雇用を確保
繰り下げ受給が有利と理解していても、年金以外の労働収入を得られるか不安な高齢者は少なくありません。そこで、高齢者の就労状況に関する具体的なデータを見てみましょう。
現在、多くの企業の定年は60歳ですが、「高年齢者雇用安定法」の改正により、社員が希望すれば企業は65歳までの雇用を義務付けられています。さらに、70歳までの就業機会を確保する努力義務も課されています。企業は高年齢者雇用確保措置として、①65歳までの定年引き上げ、②定年制の廃止、③65歳までの継続雇用制度導入のいずれかを選択しなければなりません。厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告」(2025年)によると、99.9%の企業がいずれかの措置を実施しています。
最も多く採用されているのは③で、65.1%の企業が選択しています。継続雇用制度には「勤務延長制度」と「再雇用制度」があり、ほとんどの企業が再雇用制度を選択しているようです。
勤務延長制度と再雇用制度の違い
勤務延長制度では、定年年齢を引き上げ、退職させずに継続雇用します。賃金などの労働条件は基本的に変わりませんが、公務員と同様、定年後の基本給は60歳時の7割程度、家族手当や住居手当は支給しない、役職定年を設けるなど、企業ごとに規則が決められるケースが多く、収入は60歳時より減少する傾向があります。
一方、再雇用制度は、定年に達した労働者をいったん退職させ、新たに雇用契約を結びます。賃金の大幅な引き下げが可能で、定年前の5~6割になることもよくあります。企業の人件費負担が少ないのが再雇用制度の特徴です。再雇用制度では給与の減額が大きいため、給与が定年前の75%以下となった場合、雇用保険から高年齢継続雇用給付金が支給されます(ただし、2025年4月から給付率が縮小)。
65~69歳男性の平均年収は約472万円
肝心の賃金について、国税庁の「民間給与実態統計調査」(2024年分)によると、60~64歳の男性の年収は約604万円、女性は約294万円です。65~69歳では男性約472万円、女性約240万円となっています。この金額は、男女ともフルタイムに近い形態で働くケースのため、働き方や企業規模により大きな差が生じます。また、勤務延長制度で定年を引き上げている企業の数字も含まれています。
とはいえ、これらを考慮しても、定年後も引き続き男女とも一定の収入を働いて確保できる時代になったと言えるでしょう。
『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(横山光昭・関口博美/小学館)は、著書累計400万部超のカリスマFP横山光昭氏と、同じくFPで妻の関口博美氏による初の共著。6人の子を持つ横山夫妻が、育児・教育資金を捻出しつつ、趣味のお酒やクルマにお金を使いながら老後資金を増やす方法を、3万件のマネー相談で培った具体的な「マネーテクニック」や「ウラ技」を惜しみなく公開しています。



