人事評価で「見えにくい貢献」が認められず意欲低下、約3割が経験
人事評価で「見えにくい貢献」認められず意欲低下、約3割

リクルートマネジメントソリューションズは8月26日、「人事評価と職場における感謝・称賛に関する実態調査」の分析結果を発表した。調査は5月15日から17日にかけて、人事評価制度がある従業員300人以上の企業に勤務する正社員328人を対象にインターネットで実施された。

「評価が低い」「見えにくい貢献が認められない」で意欲が下がる人は約3割

仕事をする上でのモチベーション低下要因を尋ねたところ、「給与が上がる見通しがないこと」(36.3%)が最多で、「給与が低いこと」(34.8%)が続いた。さらに「評価が低いこと」(29.3%)、「見えにくい貢献が認められないこと」(26.8%)、「公正に評価されていないこと」(25.3%)も約3割が選択した。賃金が重要な要素である一方、評価のされ方や、日々の努力や周囲への支援など成果として見えにくい貢献が認められることも、働く意欲に関係していることがうかがえる。

評価制度は重要でも、満足している人は2割強

人事制度について重要度を尋ねたところ、「とても重要である」「重要である」と回答した割合は「賃金制度」(75.9%)、「評価制度」(62.2%)、「昇進・昇格制度」(51.5%)となった。一方、「とても満足している」「満足している」と回答した割合は「賃金制度」(29.6%)、「評価制度」(23.2%)、「昇進・昇格制度」(24.4%)にとどまった。評価制度は重要と感じる人が6割を超える一方、満足している人は2割強となり、期待と実感の間に差があることが分かった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

評価制度について、勤務先企業が重視していると思う要素では「評価基準が明確であること」(34.8%)、「評価結果が処遇に適切に反映されていること」(29.9%)、「チームへの貢献が見られていること」(28.4%)が上位となった。一方、自分自身が人事評価に納得するために重視されることが望ましいと思う要素では「評価基準が明確であること」(37.5%)、「評価結果が処遇に適切に反映されていること」(34.1%)、「評価者によるばらつきが小さいこと」(30.5%)が上位だった。

勤務先企業が重視していると思う割合と、本人が重視されることが望ましいと思う割合を比べると、「評価者によるばらつきが小さいこと」では8.9ポイント、「直接評価につながらないが、重要な仕事も見られていること」では8.3ポイントの差があった。評価制度には、基準の明確さや処遇への反映に加え、評価者による判断の一貫性や、成果として表れにくい仕事を適切に捉えることも求められていることがうかがえる。

評価理由の説明や上司との対話が納得感に影響

人事評価に関して本人が望ましいと考える要素が実際に満たされている人と満たされていない人のワーク・エンゲージメントを比較すると、多くの項目で期待が満たされている人のほうが高い傾向がみられた。中でも差が大きかったのは「評価理由が説明されていること」だった。直近の人事評価について「とても満足している」「満足している」を合わせた満足計は53.0%となった。

評価に満足した理由では「自己評価と概ね一致している」「妥当な評価が得られている」といった納得感のほか、「上司と定期的に話し合える」「成長を評価してもらえている」といった承認やフィードバックに関する回答が挙がった。一方、不満足の理由では「努力や成果が評価に反映されない」「目に見える成果だけで判断される」「何が評価されているのか分からない」といった評価基準の不透明さや制度運用への不満がみられた。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

感謝の言葉が交わされても「見えにくい貢献」への承認は3割未満

仕事上の成果や貢献について、会社や職場の人から感謝・称賛を「伝えられたい」と回答した人は47.3%となった。その理由としては「モチベーション・やりがいにつながる」「周囲が見てくれていることを実感できる」といった回答が挙がった。

実際の職場の状況をみると、「日常的に感謝の言葉が交わされている」に「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した割合は56.7%となった。一方、「良い仕事や成果がきちんと認められている」は41.8%、「成果だけでなく、努力や工夫も認められている」は38.4%、「目立ちにくい貢献にも気づいてもらえる」は27.7%にとどまった。日常的に感謝の言葉が交わされていても、成果に表れにくい努力や貢献まで認められていると感じる人は限られていることが分かった。

感謝・称賛制度の導入状況では「永年勤続表彰や休暇付与」(39.6%)、「社員の成果や貢献を称える表彰」(30.5%)が中心で、「社員同士で感謝や称賛を伝え合う仕組み」は14.9%にとどまった。感謝・称賛の実感が高い人と低い人で就業継続意向を比較したところ、実感が高い群は4.20、低い群は2.90となり、約1.3ポイントの差がみられた。バーンアウトや離職意向についても、感謝・称賛の実感が高い群で有意に低い結果となった。評価制度を整えるだけでなく、日常の仕事における具体的な貢献を見つけ、感謝や称賛として伝えることが、働く意欲や職場への定着を支える要素の一つになることがうかがえる。