建設業の人手不足はなぜ解消しない?日本型発注の限界と生産性向上の課題
建設業の人手不足、日本型発注の限界と生産性向上の課題

人口減少による人手不足が進むなかで、建設業の施工能力の低下に歯止めをかけるには「労働生産性の向上」が不可欠だ。日本の経済成長に必要な建設投資を制約しないためにも、需要に応じた施工能力の確保は喫緊の課題である。

建設費高騰の背景と施工能力不足の実態

前編記事「建設費高騰は『資材高』のせいだけではない…再開発も公共工事も止まる"施工能力不足"の深刻実態」では、建設労働者の減少とともに建築着工床面積が減り続けている現状と人手不足が深刻化した背景をまとめた。人材確保のための処遇改善やインフレリスクに対応するためゼネコンが工事費の見積もり方法の見直しを進めたことで、建設費が高騰している実態を明らかにした。

生産性向上目標と具体策

高市政権が設置した日本成長戦略会議では、日本の労働生産性を5年で15%上昇させることが検討されている。日本建設業連合会(日建連)が2025年12月に策定した「生産性向上推進要綱2.0」では、今後5年で10%、10年で25%の向上を目標に掲げた。その具体策としてデジタル技術やAI(人工知能)、ロボットなどの活用を打ち出している。

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では、テクノロジーを活用して建設生産システム全体のイノベーションや市場環境の改善を進め、生産性向上へのパラダイムシフトをどう実現するのか――。国や不動産業などの発注者も交えて、技術やデータ、人材、制度など多角的な検討が必要だろう。

発注者の意識改革が急務

建設業法では「建設業とは元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう」と定義している。企業や行政が建設工事を発注したいときに、工事を請け負ってくれる建設業者がいて、要求する建設構造物を適正な工期で完成してくれる市場環境が整っていることが前提となる。

戦後の建設市場は需要に対して十分な数の建設業者が営業活動を行っていたので、発注者は必要なときに必要な工事を発注できた。発注者は建設業者を選び放題の時期もあったので、入札や見積もり合わせで競争させれば、工事費をギリギリまで下げることも可能だった。

現在のように発注者が建設業者を確保するのに苦労するのは、これまでに経験したことはなかっただろう。それだけに「発注者は、いまだに請負業者が『何とかしてくれるだろう』という意識が抜けていない」と困惑する声が建設現場からは聞かれる。

送電線工事の高所作業員、5600人の「限界」

送電線工事の高所作業員は全国で約5600人とされ、その高齢化が進んでいる。新規参入も少なく、このままでは工事の維持が困難になるという。技能者の就労履歴を正確に把握する仕組みも不十分で、人手不足の深刻さを浮き彫りにしている。

セブン-イレブンの店舗を点検・修繕する企業の事例

セブン-イレブンの店舗を点検・修繕する企業では、全国の店舗を効率的に回るためにシステムを導入しているが、技能者の確保が課題となっている。発注者と対等な立場でプロジェクト管理する調整役の必要性が指摘されている。

日本型発注の限界と新たな調整役の必要性

発注者と対等な立場でプロジェクト管理する調整役が必要だ。従来の日本型発注では、元請けがすべてを請け負い、下請けに丸投げする構造が常態化していた。このため技能者の賃金が上がりにくく、人手不足に拍車をかけている。生産性を上げても技能者が報われにくいこの構造を変えるには、発注者と建設業者の関係を見直し、適正な価格と工期で工事を進める仕組みが求められる。

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