米トランプ政権が打ち出した関税政策が、日本車メーカーに深刻な影響を及ぼすことが、東洋経済の試算で明らかになった。特にトヨタ自動車は、最大で8000億円もの利益が減少する可能性があるという。
日本車メーカーへの関税影響試算
東洋経済が独自に試算したところ、トランプ関税の影響でトヨタ自動車の営業利益は、2025年度に約8000億円減少する見通しだ。これは同社の2024年度の営業利益(約5兆円)の16%に相当する規模である。また、マツダも同様に業績悪化が避けられず、特に北米市場への依存度が高いだけに、打撃は大きい。
トランプ前大統領は、自動車輸入に対して25%の関税を課す方針を示しており、これが日本車の競争力を大きく削ぐことになる。日本自動車工業会の試算によれば、関税が発動された場合、日本車の米国市場での販売台数は年間100万台以上減少する可能性がある。
トヨタの北米戦略に暗雲
トヨタはこれまで、米国に工場を建設するなど現地生産を拡大してきたが、関税の対象は完成車だけでなく部品にも及ぶため、サプライチェーン全体に影響が及ぶ。トヨタの広報担当者は「現時点で具体的な影響をコメントできないが、状況を注視している」と述べている。
一方、マツダは北米での生産比率が低く、完成車の輸出に頼る部分が大きい。マツダの幹部は「関税が課されれば、価格競争力が著しく低下し、販売台数が大幅に減少する」と懸念を示す。
日本政府の対応と業界の動き
日本政府は、トランプ政権に対して関税の回避を求めるロビー活動を強化している。経済産業省の担当者は「日本車メーカーの雇用や投資に悪影響が出ないよう、米国側と粘り強く交渉する」と強調。しかし、トランプ氏の保護主義的な姿勢は強固で、妥結の見通しは立っていない。
業界団体の日本自動車工業会は、関税が発動された場合、日本国内の雇用にも波及すると警告。自動車関連産業の従業員は約550万人に上り、その多くが部品メーカーなど中小企業である。関税による輸出減少は、これらの企業の経営を直撃する恐れがある。
今後の見通し
専門家は、トランプ関税が長期化すれば、日本車メーカーは米国での生産シフトを加速せざるを得ないと指摘する。しかし、新たな工場建設には多額の投資が必要で、短期的な利益圧迫要因となる。また、関税が他国にも波及すれば、世界の自動車貿易全体に混乱が生じる可能性もある。
このように、トランプ関税は日本車メーカーにとって大きな試練となっている。今後の米国政権の動向と、日本政府の交渉結果が注目される。



