トヨタ「おやじ」河合満氏、もの作り60年の魅力語る 挑戦続け78歳
トヨタ「おやじ」河合満氏、もの作り60年の魅力語る

トヨタ自動車の元副社長で「おやじ」と親しまれた河合満氏(78)が、もの作りに60年以上携わってきた経験を振り返り、その魅力やデジタル時代に求められることについて語った。

もの作り60年の魅力

河合氏は「なぜ今まで60年間鍛造を続けられたかというと、もの作りは奥深くて本当に面白いからです。人によってできが変わるので、もっといいものを作ろうとか、いろいろ考えます」と述べた。

勉強は大嫌いだったといい、「できないことをできるようにするために、人に聞いたり本を読んだりして勉強しました」と振り返る。昔は全部手作業だったプレスも自動化され、工法も変わった。現在はアルミの溶接も手がけており、「鍛造の仕事からいうと考えられない仕事をやっています」と話す。

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周囲から「単純な仕事」と言われることもあるが、「単純なことなんて一個もありません。単純に思うかどうかは、その人の問題意識です。探究心があったら毎日挑戦です」と強調。挑戦がうまくいった時の喜びについて、「目標が実現できると、成長できたような気がしてやりがいが生まれます。うまくいくまでは苦しいけど、できたときの心地良さを考えて、いろんなことをやるのがむしろ楽しいんです」と語った。

デジタルやAIは「道具」

AIやデジタルの時代について、「最終的にはやっぱり人がものを作るので、どんな時代になっても人が中心です」と指摘。鍛造も60年で進化し、工法や品物の精度は格段に上がったが、「その技術をぽっと入れただけではうまくなんか絶対いきません。もっといいものを作るっていうのは人間の感性とか今まで築いたものとか技とか、そういうものを入れなきゃできません」と述べた。

その上で「デジタルやAIは全て道具です。あれは効率や生産性を上げたり、人の仕事を楽にしたりするために使うもので、あれに使われるようになったら、もう人間は要らなくなってしまいます」と警鐘を鳴らす。「これからは、ロボットやAIに勝てる技のある人は生き残れます。もの作りにおいて、人が『もっといいものは何か』を考えて作るということは、どの時代も一緒だと思います」と語った。

自身については「60年以上いてもまだ日々進化しています。現場では今まで経験したことないことが日々起きますし、技術も製品も進化します」と話し、「勉強が大嫌いでしたが、今考えてみると、一生勉強し、一生挑戦をしてきました」と振り返った。

リーダーと若者へのメッセージ

現代のリーダーについては、「今の多様化した世の中では、一人ひとりをどれだけ把握するかが大事です。技能も技術も性格も、全てのことを把握した上で、その人に合った目標設定や対応をしないと、通用しません」と説く。

「リーダーは、まず自分をさらけ出して、コミュニケーションがうまくいって信頼関係ができたら、少し厳しめに目標を出してみることが大事です。一人ひとりに合わせた目標を出し、挑戦を繰り返すことが成長につながります。部下としても、自分自身の成長を感じると、言われたことも受け入れやすくなると思います」と話す。

自身の挑戦については、「僕は常に挑戦していたから失敗はありません。挑戦してできなかった時に課題が見つかるので、失敗ではないからです。その課題にまた挑戦すればいいだけのことです」と語った。

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若者に向けては、「憧れでもいいし、目標でもいい。目指して挑戦することを大事にしてほしいです。これは遊びも一緒です。仕事は仕事、遊びは遊び。仕事が終わったら、仲間と一緒に遊ぶなら遊ぶ。そういう切り替えを、常にできると結構楽しくなると思います」とメッセージを送った。

河合氏は1966年にトヨタ技能者養成所(現トヨタ工業学園高等部)を卒業し、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)に入社。生産現場一筋で、2015年に養成所出身者として初の役員となり、17年から副社長を務めた。「おやじ」と親しまれ、生産現場の人材育成を担い、26年6月にエグゼクティブフェローを退任した。