「1粒30円」で利益は?チロルチョコ60年の進化と生き残りの秘密
「1粒30円」で利益は?チロルチョコの生き残り戦略

低価格チョコレートのビジネスモデル

チロルチョコは1粒30円という低価格で販売されているが、この価格で利益を出すのは容易ではない。チロルチョコ開発部マーケティング室主任の川崎佑真氏は「裏事情を説明すると、すべてをチョコレートにしてしまうと原価が高くなり10円では採算が合わなかった」と明かす。そこで、チョコレートの外側の中に砂糖や水飴から作られるヌガーを詰めることで原価を抑えつつ、味のバリエーションを広げることに成功した。

このキューブ状の形状は、松尾製菓がキャラメルなどの砂糖菓子の製造ノウハウを持っていたからこそ実現できた。外側のチョコレートや中身を変えることで無限のバリエーションが可能となり、これまでに600種類以上の味が発売されてきた。

商品名とキャラクターの由来

商品名はオーストリアのチロル地方の自然をイメージし、2代目の松尾喜宣社長が命名した。おなじみのチロルハットをかぶった男の子のキャラクターは「チロル坊や」の愛称で親しまれている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

キューブ状の形になったきっかけ

発売当初は子どもたちに人気だったが、1970年代のオイルショックで原価が高騰し、20円、30円と値上げしたところ客離れが発生した。そこで、3つに割ったサイズに変更し、1979年に1粒10円で再販売。設備投資が必要で社運を懸けた決断だったが、売り上げは回復した。これがチロルチョコの歴史における最初の転機となった。

さらに、コンビニエンスストアでの販売に際し、バーコードを印刷する必要があったことから、現在の少し大きめの形状に変更された。

「きなこもち」味の大ヒット

2つ目の転機は2003年に発売された「きなこもち」味だ。きなこチョコの中にぷにぷにしたもちグミが入っており、そのリアルな再現性が爆発的なブームを巻き起こした。5か月で1700万個を販売し、社内には「コンビニの棚がきなこもちで埋まった」という逸話が残る。

川崎氏は「客層が老若男女に広がり、子どものお菓子から大人も食べるお菓子へと、チロルチョコのイメージを変えた商品でした」と語る。このヒットにより、チロルチョコは全国的な知名度を獲得した。

現在の売り上げと今後の展望

現在もチロルチョコは1粒30円の価格を維持しながら、新商品の開発や季節限定品の投入で売り上げを伸ばしている。原価高騰の影響を受けつつも、製法の工夫やヒット商品の継続的な開発で利益を確保している。チロルチョコの60年以上にわたる進化と生き残りの秘密は、低価格帯での差別化と柔軟な対応力にあると言えるだろう。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ