組織を壊す「功労者だから仕方ない」の罠 ブリリアント・ジャークが許される心理
組織を壊す「功労者だから仕方ない」の罠 ブリリアント・ジャークの心理

「優秀だけど嫌な奴」が許される心理的メカニズム

「優秀だけど嫌な奴」—いわゆるブリリアント・ジャークが、なぜ組織で放置され続けるのか。作家でワークスタイル&組織開発専門家の沢渡あまね氏と、ビジネスリサーチラボ代表取締役の伊達洋駆氏は、その背景に心理学の「根本的な帰属の誤り」があると指摘する。この認知バイアスは、他人の行動を説明する際に、状況要因よりも性格や能力などの内的要因に過度に注目する傾向を指す。

例えば、上司が会議で厳しい口調になった時、その原因を「上司の人格が破綻しているから」と決めつけるのは典型的な帰属の誤りだ。実際には、会社の存亡に関わるプレッシャーの中にいる、あるいはプロフェッショナルとして譲れない品質基準を守ろうとしているといった「状況」が影響している可能性がある。この誤った認識が、ブリリアント・ジャークを「仕方ない」と受け入れる土壌を作り出している。

安易な「ジャーク認定」がもたらすリスク

『ブリリアント・ジャーク 静かにチームを壊す人たち』(三笠書房)でも論じられているように、上司からの厳しいフィードバックや高い要求から逃れるために「あの人はジャークだから」とレッテルを貼ることは、自らの成長機会を放棄することに等しい。ブリリアント・ジャークという概念は、組織を腐敗させる有害者を見極め、適切に対処するための盾であるべきで、自分の至らなさを隠すための凶器にしてはならない。

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沢渡氏と伊達氏は、目の前の相手が「自分の保身のために攻撃しているのか」それとも「仕事の基準を高めるために厳しく接しているのか」を冷静に見極める重要性を強調する。その判断を下す前に、自分自身に「私は今、心地よいレッテル貼りに逃げ込もうとしていないだろうか?」と問いかけることが必要だ。

組織がブリリアント・ジャークを放置する本当の理由

組織がブリリアント・ジャークを放置する背景には、功労者への甘えや「成果を出しているから仕方ない」という暗黙の了解がある。しかし、このような態度はチームの士気を低下させ、長期的には組織の生産性を損なう。ブリリアント・ジャークの行動が許容されると、他のメンバーが萎縮し、健全なフィードバック文化が育たなくなる。

対策としては、まず組織全体で「根本的な帰属の誤り」を認識し、行動の原因を状況も含めて多角的に評価する仕組みを作ることが挙げられる。また、フィードバックの際には「人格攻撃」ではなく「行動とその影響」に焦点を当てる訓練が有効だ。ブリリアント・ジャークの問題は、個人の性格だけに還元できるものではなく、組織の文化やマネジメントの在り方にも根ざしている。

ブリリアント・ジャークを見極める3つのポイント

第一に、相手の行動が一貫して否定的かどうか。単なる厳しさと悪意のある行動は区別すべきだ。第二に、その行動がチーム全体の目標達成に貢献しているかどうか。第三に、本人がフィードバックを受け入れ、改善する姿勢があるかどうか。これらのポイントを踏まえ、安易なレッテル貼りを避けつつ、真に有害な行動には組織として対応する必要がある。

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