世界的なコーヒーチェーンであるスターバックスは、飲食業界で高い営業利益率16%を誇る一方、貸借対照表(B/S)を見ると債務超過に陥っていることがわかる。財務コンサルタントの村上茂久氏は、この状況は危険な状態ではなく、むしろ株主から高く評価されていると指摘する。
債務超過と流動比率の低さ
スターバックスのB/Sを分析すると、まず債務超過であること、そして流動比率が78%と100%を切っていることが目立つ。つまり、資産よりも負債が多く、1年以内に換金できる資産よりも、1年以内に支払うべき負債のほうが多い状態だ。村上氏は、これを個人の家計に例え、手元にすぐ換金できる資産や貯金が10万円しかないのに、月末のクレジットカード支払いが15万円あるような状況だと説明する。
当期純利益と自己資本の逆説的な動き
村上氏は、スターバックスの過去10年間の当期純利益と自己資本の推移を示す図表を基に、疑問を投げかける。同社はこの10年間、着実に利益を生み出してきたにもかかわらず、自己資本は積み上がらず、むしろ大きく減少し、2019年度以降はマイナス、つまり債務超過に陥っている。この謎を解く鍵はキャッシュフロー計算書(C/S)にある。
株主還元がもたらす債務超過
スターバックスのC/Sを分析すると、財務キャッシュフロー(CF)が大幅なマイナスとなっている。2022年度の内訳を見ると、配当金と自社株買いで62億ドル以上をキャッシュアウトしている。つまり、スターバックスはアップルと同様に、多くの配当と自社株買いによる積極的な株主還元を進めた結果、債務超過になっているというのが村上氏の分析だ。
この戦略は、一見すると「カツカツ」に見える経営だが、市場からは高く評価され、投資家を惹きつけている。村上氏は、スターバックスが「虎の子」とも言える財務戦略で、株主価値を高めていると結論づけている。



