働き方改革やリモートワークの普及により、「定時で帰る」ことがスタンダードになりつつある昨今。しかし、その一方で、「残業代が必要だから」という理由以外にも、「業務に集中できる時間がほしい」「もっと経験を積むために仕事したい」と考える人々が、“早く帰ってください”と言われる風潮にモヤモヤを感じるケースも少なくない。
「残業=悪」という風潮の広がり
「残業=よろしくない」という考え方が広がる中で、仕事への熱意や成長意欲の表れとして、積極的に残業したいと考える人も存在する。働き方の正解が多様化した現在、不本意な長時間労働という“負の側面”とは切り離して、「もっと仕事したい!」「時間をかけて取り組みたい」という価値観は尊重されるべきではないか、という意見が上がっている。
増田氏(ネットニュースのライター・編集者)は、自身の経験を基に「前向きな残業まで否定される風潮」について問題提起している。同氏は、上手すぎるイラストで日常の出来事を漫画にするスタイルで知られ、今回のテーマについても分かりやすく解説している。
職場のハーフパンツ問題にも関連
同氏は以前、「すね毛が気になる…」職場の“男性ハーフパンツ問題”についても言及しており、働き方の多様性や職場のルールに関する議論が続いている。今回の「前向きな残業」問題も、その延長線上にあると言える。
「無数の分断が生まれる昨今……それぞれの立場で解説します」と増田氏は述べており、このテーマに関する連載「その分断、わかりあえない?」の中で詳しく論じている。
多様化する働き方の価値観
働き方改革の流れは、長時間労働の是正やワークライフバランスの向上に大きく貢献してきた。しかし、その一方で「残業=悪」という単純な図式が、自主的にスキルアップを図りたい人や、集中して仕事に取り組みたい人にとっては息苦しさを感じさせることもある。
あるIT企業の30代エンジニアは、「周りがどんどん帰る中で、自分だけ残っていると『早く帰れ』と言われる。でも、自分は新しい技術を学ぶために残っているのに、それが理解されないのはつらい」と語る。
「前向きな残業」の定義とは
重要なのは、「不本意な長時間労働」と「自主的な成長のための時間」を区別することだ。強制される残業はもちろん問題だが、個人の裁量で行う自己研鑽や、プロジェクトを成功させるための自主的な時間外労働まで否定するのは、かえって生産性やモチベーションを下げる可能性がある。
人事コンサルタントの山田氏は「働き方改革の本質は、時間ではなく成果で評価すること。残業時間だけを減らすのではなく、個人の事情や意欲に応じた柔軟な働き方を認めることが重要だ」と指摘する。
今後の働き方に求められるバランス
働き方の正解が多様化した今こそ、一方的な価値観の押し付けではなく、互いの立場を理解し合うことが求められる。「早く帰る人」も「もっと働きたい人」も、それぞれの選択が尊重される職場環境づくりが、今後の課題と言えるだろう。



