「これ味ぽんじゃなくない?」ドンキも困惑のギルティ魔改造、開発裏側に迫る
ギルティ魔改造された味ぽん、開発の裏側

ミツカンの国民的調味料「味ぽん」が、従来の「さっぱり」イメージを覆すギルティな新商品を発売し、SNSで大きな話題を集めている。その名も『極旨ヤミツキ麺のたれ by 味ぽん』と『辛旨ヤミツキ麺のたれ by 味ぽん』。パッケージには「脳にコッテリ!」「舌にピリリッ!」「腹にガッツリ!」と、らしからぬパワフルなワードが躍る。

ドン・キホーテも困惑、開発の衝撃

6月1日から全国のドン・キホーテなどPPIHグループ店舗限定で先行発売されたこの商品。先行発売を行ったドン・キホーテの担当者からは「これ味ぽんじゃなくない?」と困惑の声が上がったほどだ。ミツカンとドン・キホーテの公式Xアカウント同士の応酬も話題を呼び、ドンキ側が「流石にこれが“味ぽん”って無理でしょ、、、」と突き放す一方、味ぽん側が「食べてみる前から文句言うの良くないですよ」と言い返すなど、ネットを大いに賑わせた。

開発を手掛けたミツカンの吉岡真優さんは「ありがたい反応をたくさんいただけて、本当にホッとしています」と笑顔を見せる。なぜ最初の販売先としてドン・キホーテを選んだのかについては、「今回はかなりジャンキーで挑戦的な仕上がり。だからこそ、ドンキに来られるお客様であれば、この異質さを面白おかしく捉えて受け入れてくれるのではないかと考えました」と語る。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

開発の裏側:ギルティ消費ブームに先駆けて

一見、昨今の「ギルティ消費」ブームに便乗したように見えるが、実は開発は2025年にスタート。ブームが定着するより前、純粋に「生活者の不満」を解消しようとしたことが発端だった。日本の夏は冷たい麺が定番だが、毎日食べると味が単調になり飽きてしまうという声が多く寄せられていた。さっぱり感は欲しいが、そればかりだと物足りない。そこで、夏でも満足感ある味わいを楽しめる商品を目指したという。

開発のブレイクスルーとなったのは、吉岡さんが目をつけた「街のお店」の光景。油そばや混ぜそばの専門店では、卓上にお酢が置かれており、お客さんは脂っぽくて濃厚な油そばの味変や口直しとしてお酢をかけ、後味をさっぱりさせて完食する。このお酢の役割こそ、味ぽんブランドのDNAが最も生きる領域だと感じたという。

過酷な食べ歩きと社内の壁

方向性が決まってからの開発は過酷を極めた。吉岡さんは技術チームとタッグを組み、1日に4〜5軒もの油そば・混ぜそばの名店を巡る食べ歩き行脚をスタート。「限界までお腹に油そばを詰め込み続けて…。『絶対に体重計には乗らないようにしよう』とチームで固く誓い合っていましたね(笑)」と振り返る。

半年間の試行錯誤の末、黄金比率のプロトタイプが完成。社内試食評価では、なんと「味ぽん」新商品開発の歴史の中で過去最高評価点を叩き出したという。しかし、商品化のフェーズに進むと、老舗企業ならではの大きな壁が立ちはだかった。伝統ある「味ぽん」の看板を掲げて、にんにく・油ドバドバのジャンキーな商品を売ることへの賛否両論が巻き起こった。「『これまで築き上げてきた世界観を壊してしまうのではないか』『こんなにギルティな商品を『味ぽん』の名前で出す意味があるのか』といった、ブランドを守る立場からの真っ当な反対意見や懸念が次々と上がりました」と吉岡さん。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

膠着状態を打ち破ったのは、ミツカン上層部の一言。「やれるところまで徹底的に振り切ってみよう!」「味ぽんはここまでチャレンジできるんだと、社員や世間に見せようじゃないか!」と、まさかのアクセル全開の指示が飛んだ。さらに、偶然にも同じ時期(2025年)に社内で制定された「ブランドブック」が攻めの姿勢を支えた。禁止事項ばかりのルールブックではなく、味ぽんが守るべき絶対的な世界観は数行だけ。あとは何をしても自由、どんどん新しいことに手を挙げて発展させていいという、社員の創造性を尊重するガイドラインだったという。

令和の家庭の救世主として

アクセル全開で完成したこの商品は、現代の家庭の救世主としての側面も持つ。吉岡さんは「『味ぽん』といえば、冬にみんなで鍋を囲んで使うイメージが強かったと思います。しかし現代は単身世帯が増え、ライフスタイルも多様化。『ヤミツキ麺のたれ』は単身者や若い世代、男性にも気軽に使っていただきやすいと思います。また、夏休み中に3食を作るのが大変な方にも、手軽に使っていただけるのではないでしょうか」と期待を寄せる。

おすすめの食べ方として、吉岡さんは「『極旨』はネギとチャーシューを乗せ、生卵を落としても最高です。コンビニのサラダチキンを手でちぎって乗せるだけでも十分美味しくなります。『辛旨』には、焼き海苔やレンジでチンしたチンゲンサイが抜群に合いますね。さらにギルティさを求めるなら、卵やお肉を追加するのもおすすめです」と語る。

ミツカン史上最もジャンキーなこの挑戦作は、6月1日から全国のドン・キホーテ、アピタ、ピアゴなどのPPIHグループ店舗で販売中。また、7月14日までは期間限定で全国のドン・キホーテ19店舗にて大々的な売場展開を行っている。吉岡さんは「皆さんに驚きや楽しさを提供できるような、ワクワクしてもらえるブランドであり続けたいです」と語り、国民的調味料の新たな快進撃に注目が集まる。