ショップの店員が客に投げかける「質問」は、売り上げを大きく左右する。しかし、多くの店員が無意識に使っている「何かお探しですか?」という声かけは、実は逆効果だと経営コンサルタントの河田真誠氏は指摘する。では、どのような質問が効果的なのか。
「何かお探しですか?」はなぜNGなのか
河田氏によれば、かつては「お客さんのニーズを満たすこと」が成功の近道だったが、今はどの業界も似たような商品やサービスで埋め尽くされており、「ニーズを満たすだけの商品」では売れない時代になったという。「お客さんが欲しそうな商品」という視点で考えた商品は競合があふれ、結局は価格競争に巻き込まれるだけだと警鐘を鳴らす。
「質問改革」で思考のステージを上げる
この課題を解決する方法として河田氏が提唱するのが「質問改革」だ。そのやり方はシンプルで、「そもそも」に戻る質問をすること。具体的には、「どんな商品が売れるか?」「お客さんが欲しい商品は何か?」ではなく、「そもそも、お客さんが欲しい価値は何か?」と自問する。この質問に変えた瞬間、思考のステージが一段上がり、「欲しい商品」ではなく「欲しい価値」から考え始めることができるという。
具体例:缶酎ハイの新商品開発
例えば、缶酎ハイの新商品を考える場合、多くの人が「新しいフレーバーは何がいい?」「アルコール度数を上げるとどうだろうか?」「容量を増やす?」といった質問をしがちだ。これらの質問自体は間違いではないが、競合他社でも容易に思いつく案が多く、販売力や価格などの他の要素で勝敗が決まる可能性が高い。
しかし、質問を「この商品で、お客さんにどんな価値を届けたいのか?」に変えると、出てくる答えはまったく変わる。人は「意味」や「ストーリー」にお金を払う傾向があるため、価値志向の質問が新たな視点を生むのだ。
実践的な接客術への応用
この「質問改革」は、ショップ店員の接客にも応用できる。河田氏は、店員が客に対して「何かお探しですか?」と聞くのではなく、「今日はどのようなシーンでお使いになる予定ですか?」「どんな気分のときに身につけたいですか?」といった、客が求める価値に迫る質問を投げかけることを勧めている。これにより、客自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出し、単なる商品説明ではなく、価値提案が可能になる。
河田氏は「頑張っているけれど差がつかない。アイデアを出しても『どこかで見たことがある』を超えない。そんな課題を解決するのが質問改革だ」と述べ、接客の現場で即実践できるテクニックとして、多くの店員に取り入れてほしいとしている。



