島根発ローカル・ゼブラ企業、職業病解決へ独自の健康経営支援を展開
島根発ゼブラ企業、職業病解決へ健康経営支援を展開

作業療法の視点を生かし、職業病による健康被害の解決に取り組む島根発の「ローカル・ゼブラ企業」が注目されている。松江市出身の元廣惇さん(39)が代表を務める「Canvas」は、社会課題の解決と経済成長の両立を目指す企業として、独自の健康経営支援サービスを展開している。

作業療法士としての経験が起業の原点

元廣さんが作業療法士を志したきっかけは、発達障害のいとこに同伴して通った医療センターでの体験だった。「作業療法の時間に作ったカレンダーがリハビリ室に貼り出されてすごく喜んでいたんです」。子どもながらに、その人らしく生きることの素晴らしさを感じたという。

22歳で国家資格を取得し、複数の医療機関で臨床業務に携わった後、県内の養成校で教員を務め、30歳で学科長に歴代最年少で就任。関西の医系総合大学からの誘いを断り、34歳でCanvasを創業した。

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独自システムで企業の健康課題を可視化

起業の背景には、臨床現場での経験があった。「仕事での無理がたたり、湿布薬や痛み止めの薬が手放せない高齢者を山のように見てきた」。心身をむしばむ職業病という社会課題への問題意識に加え、作業療法士や理学療法士のスキルを生かせる場を広げたいという思いもあった。

同社は職業病による経済損失額を可視化する独自のITシステムを開発。企業の弱点を洗い出し、課題に応じた対処方法を提案している。ある林業系の会社では、体の不調による欠勤が減って生産性が上がり、年間売り上げが大きく伸びたケースもあるという。

35都道府県へ拡大、島根からの挑戦は「まだ2合目」

現在、フランチャイズ展開する支援サービス事業は35都道府県、60を超えるエリアに広がった。「私たちがやっているのは働く人の体を治す仕事ではなく、会社の健康文化を変える仕事だと思っている」と元廣さんは話す。

少子高齢化や人口減少に他地域より早く直面する「課題先進県」・島根からの挑戦について、元廣さんは「まだ2合目あたり」と表現。「雇用や産業が存続できなくなった地域は消えていく。そうならないよう、地域の産学官金と共創し、職業病による離職者を世の中からなくしたい。新しい当たり前を作っていきたい」と語る。

社名のCanvasは「様々な思いを描くキャンバス(画布)に」との思いから命名。創業6年目を迎え、まだまだ余白はある。

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