2025年上半期(1~6月)の訪日外国人客数が、過去最高を記録したことが国土交通省の発表で明らかになった。前年同期比18%増の約1,500万人に達し、コロナ禍前の2019年を上回るペースで回復している。背景には、歴史的な円安水準が続き、海外からの旅行需要を大きく押し上げていることがある。
円安効果で消費額も急拡大
観光庁の調査によると、2025年上半期の訪日外国人による消費額は約3.5兆円に上り、前年同期比25%増加。このままの勢いが続けば、年間では初めて6兆円を突破する見通しだ。特に、中国、韓国、台湾からの観光客が消費を牽引しており、高級ブランド品や家電製品の購入が目立つ。ある中国人観光客は「円安で日本での買い物はとてもお得。普段よりも3割以上安く感じる」と話す。
政府、オーバーツーリズム対策も本格化
一方で、急増する観光客による「オーバーツーリズム」が課題となっている。京都や富士山周辺では、混雑やマナー違反が深刻化し、地域住民から不満の声が上がる。観光庁の担当者は「持続可能な観光を実現するため、2026年度から地方分散や時間分散を促す新たな戦略を策定する」と述べた。具体的には、地方空港への国際線誘致や、オフシーズンの旅行促進キャンペーンを強化する方針だ。
経済効果と課題の両立がカギ
インバウンド消費の拡大は、小売業や宿泊業にとって大きな追い風となっている。特に、百貨店の免税品売り場は連日賑わいを見せ、高級ホテルの稼働率は90%を超える。一方で、労働力不足や物価上昇の懸念も指摘される。第一生命経済研究所のエコノミストは「観光需要の恩恵を全国に行き渡らせることが重要。同時に、地域の生活環境を守る対策が不可欠だ」と分析する。



