マンション供給戸数で首都圏トップの野村不動産。同社の中村治彦副社長(代表取締役副社長・レジデンシャル事業本部長)が、建築費高騰や人口減少など激変する事業環境の中での戦略を語った。
マーケットインのDNA
野村不動産は1957年に野村証券の新社屋建設を機にビル資産管理会社として設立。三井不動産や三菱地所などの財閥系とは異なり、豊富な土地を持たないデベロッパーとして出発し、マーケットを機敏に察知する力で成長してきた。現在はマンション供給戸数ランキングで常に上位を占める。
中村副社長は「当社はいわゆる財閥系とは出自が異なるため、マーケット起点で商品づくりを行うDNAが根付いている。製造・販売・管理の一貫体制を早くから実現し、住まいに関わるニーズの変化に対応した商品を供給し続けてきた」と説明。近年は都心型戸建てや中古リノベーションマンションにも取り組みを広げている。
供給戸数へのこだわりはなし
2025年の新築マンション供給戸数(不動産経済研究所調べ)は、首都圏で2273戸とトップ、全国でも2位だった。中村副社長は「数を売ることを目的にしているわけではない。各エリアのマーケットを見て、どのエリアで事業を行うべきか検討して積み上げた結果だ」と述べ、目標数値は持たない方針を示した。全国での供給戸数はここ数年3000~4000戸の間に落ち着いているという。
マンション市場全体では供給戸数が大きく減少し、首都圏でも2万戸程度にまで減っている。同社も供給余地が少なくなる中で対応している状況だ。
都心部・高額物件シフトは結果
3カ年計画(26年3月期~28年3月期)では「最上級クラスの商品企画」で商品ラインナップを充実させるとしている。中村副社長は「株高による資産効果やダブルインカム世帯の賃金上昇などを背景に、都心部の需要が高まっており、建築工事費の上昇も進んでいる。郊外に比べて都市部での案件が成立する可能性が高くなっているのは事実。郊外での事業化が一時的に難しい局面だ」と指摘。結果として都心部や高額帯の物件供給が増えていると語った。
今後の展開として、定期借地権付き物件など新たな商品にも「マーケットインの企画力」を活かして拡大を図る方針だ。



