大手電機メーカー「テクノエレクトロン」の人事部に所属する田中主任は、最近増加している社員の副業問題に頭を悩ませていた。就業規則では副業は原則禁止されているが、社員の間では副業が横行し、中には複数の仕事を掛け持ちする者もいる。
発覚のきっかけは社内調査
ある日、社内のコンプライアンス調査で、複数の社員が副業をしている可能性が浮上した。田中主任は調査を進めるうちに、営業部の山田課長が週末に飲食店を経営している事実を掴む。さらに、開発部の若手社員がフリーランスでプログラミングの請負仕事をしていることも判明した。
田中主任は山田課長を呼び出し、事情を尋ねる。山田課長は「生活費を稼ぐためだ。本業に支障は出していない」と反論するが、田中主任は就業規則違反を指摘する。山田課長は「規則が古い。今の時代、副業は当たり前だ」と譲らない。
人事部のジレンマ
田中主任は上司の人事部長に相談する。部長は「厳格に対処すると社員の士気が下がる。しかし、放置すれば会社の信用問題になる」と悩む。結局、部長は「まずは注意喚起の文書を全社員に配布し、自主申告を促そう」と提案する。
しかし、文書を配布しても副業をやめる社員は少なく、むしろ隠れて副業を続ける者が増えた。田中主任は「規制だけでは解決しない。副業を認める方向で制度を見直すべきでは」と考え始める。
社員の本音
田中主任は若手社員の意見を聞くため、社内アンケートを実施する。結果、約3割の社員が副業を希望し、その理由は「収入増」「スキル向上」「キャリアの幅を広げたい」などだった。一方、副業に反対する社員からは「本業への影響が心配」「不公平感がある」との声も上がった。
アンケート結果を基に、田中主任は「副業に関するガイドライン」を作成し、許可制に移行する案をまとめる。条件として「本業の勤務時間外であること」「会社の利益相反にならないこと」「週20時間以内」などを盛り込んだ。
経営陣の判断
田中主任は経営会議でこの案を提案する。当初は慎重な意見が多かったが、社長が「社員の多様な働き方を認めることが、会社の成長につながる」と賛成したことで、正式に副業解禁の方針が決まる。
新制度の導入後、副業を始めた社員からは「スキルが向上した」「本業にも良い影響がある」と好評だ。しかし、中には副業に時間を取られすぎて本業のパフォーマンスが低下するケースも見られ、田中主任は引き続きモニタリングが必要だと感じている。
「副業問題に正解はない。会社と社員が対話を重ね、最適なバランスを見つけることが重要だ」と田中主任は語る。



