川崎重工業(以下、川重)は、2027年度に事業利益率8%、2030年度に10%を達成するという中期経営目標を掲げている。同社の山本克也副社長兼CFO(最高財務責任者)は、防衛事業の受注拡大とパワースポーツ&エンジン(PS&E)事業の再建が鍵を握ると指摘する。
防衛受注の拡大とその持続性
川重の防衛関連製品の受注は、期ごとに変動があるものの、中長期的には堅調な成長が見込まれている。特に、政府の防衛費増額方針を背景に、防衛省向けの装備品やシステムの需要が高まっている。山本CFOは「防衛事業は安定した収益源であり、成長を牽引する柱の一つだ」と述べ、受注の拡大が利益率改善に寄与するとの見解を示した。
防衛事業の収益性向上には、生産効率の改善やサプライチェーンの最適化も重要となる。川重は、防衛関連の生産ラインを増強し、コスト削減を進める方針だ。これにより、利益率の底上げを図る。
PS&E事業の課題と反転攻勢
一方、パワースポーツ&エンジン事業は、関税や市場競争の激化という課題に直面している。特に、北米市場での関税影響が収益を圧迫している。山本CFOは「関税の影響は避けられないが、生産拠点の見直しやコスト削減で対応する」と説明する。
また、競合他社との差別化を図るため、川重は高付加価値製品の投入を計画している。具体的には、排出ガス規制に対応したエンジンや、新興国市場向けの低価格モデルを開発する。さらに、既存製品のリニューアルや、サービス事業の拡大も視野に入れている。
山本CFOは「PS&E事業は、2025年度を底に反転攻勢に転じる」と予測し、2027年度までに事業利益率を改善するとの目標を掲げる。
利益率10%への道筋
川重は、防衛事業とPS&E事業の両輪で成長を目指す。防衛事業の受注拡大とPS&E事業の再建により、2027年度に事業利益率8%、2030年度に10%を達成する計画だ。山本CFOは「各事業の利益率改善と新規受注への取り組みを着実に進める」と強調する。
具体的には、全社的なコスト削減や、生産性向上のためのデジタル化投資を加速させる。また、航空宇宙やエネルギー分野での新規事業開拓も進める。これらの施策により、収益基盤を強化し、目標達成を目指す。
山本CFOは「2030年度の利益率10%は、決して楽観的な目標ではない。しかし、現実的なシナリオとして描ける」と述べ、自信を示した。



