川崎重工は、2027年度に事業利益率8%、2030年度に10%を達成するという野心的な目標を掲げている。同社の山本克也副社長CFO(最高財務責任者)は、防衛事業の成長がこの目標達成の鍵を握ると語る。一方で、パワースポーツ&エンジン(PS&E)事業は関税や市場競争の影響を受けており、反転攻勢への課題も浮き彫りになっている。
防衛受注はどこまで伸びるか
川崎重工の防衛関連製品の受注は期ごとに変動があるものの、長期的な見通しには明るい兆しが見える。山本CFOは「防衛分野は国家の安全保障に直結するため、安定した需要が見込める」と述べ、成長分野としての位置づけを強調する。同社は防衛省向けの潜水艦や航空機などの受注を強化しており、これらの大型案件が収益を押し上げると期待されている。
具体的には、2025年度の防衛事業の売上高は前期比で約15%増加する見通しだ。これは、政府の防衛費増額方針に沿ったものであり、今後も同様の成長が続くと予想される。ただし、受注は期ごとに変動するため、安定した利益率の達成には継続的な受注獲得が不可欠となる。
PS&Eの関税影響と反転攻勢
パワースポーツ&エンジン事業は、北米市場での関税引き上げや競争激化の影響を受けている。特に、全地形対応車(ATV)やジェットスキーなどの製品は、関税コストの増加により利益率が圧迫されている。山本CFOは「関税の影響を最小限に抑えるため、生産拠点の見直しや原価低減策を進めている」と説明する。
反転攻勢の一手として、同社は新興市場での販売拡大を計画している。アジアや中南米など、需要が高まっている地域に注力し、販売網を強化する方針だ。また、電動化や自動運転技術を搭載した新製品の投入も視野に入れており、これにより競争力を高める狙いがある。
2026年度のPS&E事業の売上高は、前期比で5%減となる見込みだが、2027年度以降は新製品の効果が現れ、再び成長軌道に乗ると同社は予測している。
利益率10%への道筋
川崎重工は、全社的な収益構造改革を推進している。山本CFOは「各事業部で利益率の目標を設定し、達成状況を厳格に管理している」と述べ、コスト削減や生産性向上に取り組む姿勢を示す。特に、防衛事業の高収益化とPS&E事業の立て直しが、全体の利益率向上に直結する。
同社は2027年度に事業利益率8%を達成し、その後2030年度までに10%を目指す。この目標を達成するためには、防衛事業の受注拡大とPS&E事業の収益改善が不可欠だ。山本CFOは「関税や市場変動などのリスクはあるが、着実に実行していく」と強調する。
また、新規事業への投資も積極的に行う。水素関連やロボティクスなど、成長が期待される分野への投資を拡大し、中長期的な収益源の多角化を図る。これにより、防衛事業への依存度を下げ、安定した利益率の達成を目指す。
川崎重工の2030年度に向けたビジョンは、防衛事業の成長を軸に、PS&E事業の反転攻勢と新規事業の育成を組み合わせたものだ。山本CFOのリーダーシップの下、同社が目標を達成できるかどうか、今後の動向が注目される。



