KADOKAWAの大株主である投資ファンド「オアシス・マネジメント」は5月21日、6月24日開催予定の定時株主総会で、角川歴彦CEOの取締役解任決議に賛成するよう株主に求める文書を公開した。
業績悪化を指摘
文書では、角川氏の在任5年間で1株当たり純利益(EPS)が89%減少し、自己資本利益率(ROE)が8.2%から0.5%に低下したと指摘。業績悪化は角川氏の事業戦略の失敗によるものだとしている。
出版事業の収益性低下
OASYSが公開した「より強いKADOKAWA」と題する文書では、問題点を詳細に指摘。KADOKAWAの営業利益は角川氏就任前の2021年3月期の136億円から、2026年3月期には81億円に減少。営業利益率も6.5%から2.9%に縮小し、2025年11月に発表した下方修正後の予想も下回った。
主力の出版・IP創出事業について、角川氏が推進した年間7000件超のIP創出目標は「質より量」の戦略となり、1タイトル当たりの収益性低下を招いたと批判した。
同事業の営業利益率は2022年3月期の13.1%から2026年3月期には2.6%まで悪化。KADOKAWAは新中計で刊行点数を抑制する方針に転じたが、OASYSはこれを「OASYSの批判を認めた証拠」と述べた。
ELDEN RINGの利益流出
子会社フロム・ソフトウェアが開発した「ELDEN RING」は世界で3000万本超を販売したが、海外パブリッシングをバンダイナムコなどの外部パートナーに委託しているため、利益の大部分が社外に流出していると主張する。
ニコニコの競争力低下も指摘
子会社ドワンゴが運営する「ニコニコ動画」についても、プレミアム会員が減り続け、ユーザーが高齢化するなど年々競争力を失っていると指摘。
角川氏がKADOKAWAのCEOとドワンゴの社長を兼任しながら、グリーなど上場企業4社の社外取締役を務めている点や、「AbemaPrime」などに頻繁に出演している点に触れ、経営への集中力が欠けていると批判した。
OASYSの株主提案にKADOKAWAは反対
KADOKAWAは2025年1月にソニーグループから約500億円の出資を受け入れ、ソニーが約10%を保有する大株主となった。
OASYSは2020年からKADOKAWAに対し書簡の送付やIR面談を通じて経営改善を求めており、並行して株式の取得も進めていた。2026年3月にはソニーを上回る水準まで保有比率を引き上げ、3月18日付で筆頭株主に浮上。さらに買い増し、3月下旬には保有比率を約13.76%まで引き上げた。
OASYSは角川氏の解任を求める株主提案を4月に提出。KADOKAWAの取締役会は5月14日、OASYSの株主提案に反対する方針を表明しており、角川氏の続投が中長期的な企業価値の最大化につながるという立場を示すなど、対立している。



