ジム・ロジャース氏「日本株を早く売りすぎた」円安と市場熱狂の裏で迫る危機
ジム・ロジャース氏「日本株を早く売りすぎた」円安と市場熱狂の裏で迫る危機

世界的な投資家として知られるジム・ロジャース氏が、日本市場の現状について率直な見解を示した。同氏は最新刊『株式投資1年目の教科書』の著者であるファンドマネジャーの河北博光氏との対談で、「私は早く売りすぎた」と告白。日経平均株価が7万2000円を超える歴史的な高値圏にあっても、さらなる上昇の可能性を認めつつ、歴史的な円安の裏で忍び寄る深刻な事態について警告を発した。

「また早く売り急ぎすぎてしまった」とロジャース氏

河北博光氏が現在の株式市場の過熱局面について質問を投げかけると、ロジャース氏はまず自身の投資行動を振り返った。「実は、私はすでに自分の日本株をすべて売却してしまっている。だから今のこのすばらしい高騰を見て、『いつもどおり、また早く売り急ぎすぎてしまったな!』と痛感しているよ(笑)」と語った。

その上で、市場の本質について「投資の世界では、非常に長い低迷期を経て、ようやく相場が本格的に上がり始めると、往々にして人々の予測や適正水準をはるかに超えて、想像以上に高く上がっていくことがよくある。通常では考えられないほど上値を追っていく。それが今まさに日本市場で起きている」と解説した。

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高値圏でも上昇余地、ただし熱狂に警鐘

河北氏が「偉大な投資家であるジムでさえも『売り急いだ』と感じるほどのエネルギーが、今の日本株にはあるということですね。では、ここからの水準でも日本株にはまだ魅力があるとお考えですか」と問うと、ロジャース氏は「私個人としては、この高値圏からさらに買い増しをする選択肢はない。しかし、それは『これ以上上がらない』という意味では決してない。市場は一度火がつくと、通常の人々が期待するレベルをはるかに超えて突き抜ける。しばらくは非常に好調な相場が続く可能性は十分にあるだろう」と答えた。

しかし同時に、長期的な視点から警告も発した。「アメリカ株を含めこれほど長い期間にわたって強気相場(ブル相場)が続いているというのは、世界的にも歴史的にも極めて異常な状況だ。多くの人が『この上昇が永遠に続く』と錯覚し始めているが、歴史は『このようなことがいつまでも続くことはない』と警告している。熱狂の真っただ中にある時こそ、冷徹に『終わり』を意識すべきだ」と述べ、市場参加者に冷静さを求めた。

外貨ベースでは実質的な資産価値は目減り

ロジャース氏は、歴史的な円安がもたらす影響についても言及した。外貨ベースで見た場合、日本円建ての資産価値は実質的に目減りしていると指摘。円安が進行する中で、日本株の上昇だけに注目するのではなく、為替変動による影響も考慮する必要があると強調した。

同氏は「手元の金や銀を売るつもりはない」とも述べ、実物資産への強い信念を示した。インフレや通貨安に対するヘッジとして、金や銀などのコモディティを保有し続ける方針を明らかにした。

市場が熱狂している時こそ冷静に

ロジャース氏は、投資家に対して「市場が熱狂している時こそ冷静に」と繰り返し警告する。現在の日本市場は熱狂の真っただ中にあり、多くの投資家が楽観視しているが、歴史的に見ればこうした局面は長続きしないと指摘する。

同氏の投資哲学は、長期低迷の後に訪れる急騰を捉えることと、過熱感が強まった際には早めに利益を確定することのバランスにある。今回の「早く売りすぎた」という発言は、その難しさを如実に物語っている。

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日本市場は今後も上昇が期待される一方で、円安による実質的な資産価値の低下や、世界的な金融環境の変化など、リスク要因も多く存在する。ロジャース氏の冷静な分析は、投資家にとって貴重な指針となるだろう。