ジャパネットホールディングス(HD)は、2024年4月1日付で高田旭人氏(49)を新社長に昇格させる人事を発表した。創業家出身ではない人物が社長に就くのは異例の抜擢であり、業界内外から注目を集めている。同社はテレビ通販で急成長してきたが、近年はEC(電子商取引)シフトやデジタル化の遅れが課題となっており、新社長のもとでの変革が期待される。
異例の抜擢、その背景
高田氏は1998年にジャパネットへ入社。テレビ通販の番組制作やマーケティングを担当し、2018年には取締役、2022年には専務に就任していた。創業者である高田明氏(現会長)の長男ではないものの、同社の成長を支えてきた実績が評価された。今回の人事について、同社は「経営の若返りと変革を加速させるため」と説明している。
ジャパネットHDの2023年12月期の連結売上高は前年比2.4%増の約2,200億円。しかし、テレビ通販市場の縮小や競争激化により、収益力の低下が懸念されている。高田新社長は就任に際し、「テレビ通販の強みを活かしつつ、ECや新規事業の拡大を図る」とコメントしている。
テレビ通販からECへ、シフトの必要性
ジャパネットはテレビ通販で培った顧客基盤を強みとするが、若年層を中心にテレビ離れが進んでおり、ECへのシフトは急務だ。同社のEC比率は約30%にとどまっており、業界平均の50%を下回る。高田新社長は「デジタルマーケティングの強化と、顧客データの活用によるパーソナライズ化を推進する」と述べ、EC比率を2027年までに50%に引き上げる目標を掲げている。
また、テレビ通販番組の制作手法も見直す。従来の長時間の商品説明中心から、短尺でエンターテイメント性の高いコンテンツへと転換し、SNSなどでの拡散を狙う。すでにTikTokやYouTubeでの配信を強化しており、2024年にはテレビ通販番組の制作本数を前年比20%削減する計画だ。
業績回復への期待と課題
ジャパネットHDの2023年12月期の営業利益は前年比5.1%減の約120億円。テレビ通販の広告費増加や物流コストの上昇が収益を圧迫している。新社長はコスト削減にも着手し、物流拠点の統合やAIを活用した需要予測の精度向上を図る。2024年12月期の営業利益は前期比8%増の約130億円を見込む。
しかし、課題も多い。ECシフトに伴い、テレビ通販で培った「説明販売」のノウハウをどうデジタルに落とし込むかが鍵となる。また、競合するAmazonや楽天との差別化も必要だ。高田新社長は「テレビ通販の強みである『感動体験』をECでも提供できる仕組みを作る」と意気込む。
創業家との関係とガバナンス
創業家出身ではない社長の誕生は、同社のコーポレートガバナンス改革の一環でもある。これまで創業者の高田明会長が経営の実権を握ってきたが、新社長に経営権を委譲することで、より客観的な意思決定を目指す。会長は「高田君なら任せられる。私は会長としてサポートに回る」とコメントしている。
一方で、創業家の影響力が依然強いことから、実質的な権限移譲が進むかは不透明だ。アナリストからは「新社長がどこまで自由に経営できるかが、今後の成長の分かれ目」との指摘もある。
今後の展望
ジャパネットHDは、テレビ通販の基盤を維持しつつ、ECや新規事業で成長を目指す。2025年までにEC比率50%を達成し、2026年には売上高3,000億円を目標とする。また、海外展開も視野に入れ、アジア市場でのテレビ通販事業の可能性を探る。
高田新社長の下で、ジャパネットが変革を遂げられるか。業界の注目が集まる。



