Jビューティー輸出拡大へ、SNS活用で韓国コスメに対抗 政府目標2兆円
Jビューティー輸出拡大へSNS活用で韓国コスメに対抗

政府目標2兆円も現状は5000億円、課題はSNS活用

政府は化粧品輸出額を2033年までに2兆円に引き上げる目標を掲げているが、現状は約5000億円にとどまる。高品質で知られる日本製化粧品(Jビューティー)が、なぜ韓国コスメの輸出急拡大に追いつけないのか。その背景にはSNSを活用した認知から購買への導線の差があると、業界関係者は指摘する。

政府は2024年に発表した「新たなクールジャパン戦略」で化粧品を重点産業に位置づけ、2026年5月には自民党議員による「J-Beauty産業研究会」が政府に提言を提出した。経済産業省には「化粧品産業競争力強化検討会」が設置され、具体策が議論されている。

アイスタイルCSO濱田氏「展示会で3日間で1年分の営業が可能」

化粧品販売のEC・店舗展開や美容口コミプラットフォーム「@cosme」を運営するアイスタイルの上級執行役員CSOで、政府検討会の有識者委員を務める濱田健作氏は、海外展示会の重要性を強調する。「海外の展示会では、3日間で1年分の営業に相当する商談ができる。日本の化粧品は品質への評価が高いが、現地のバイヤーや消費者に知ってもらう機会が圧倒的に不足している」と述べる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

濱田氏は1974年生まれ。コンサルティング事務所勤務を経て2005年にアイスタイル入社。2021年から上級執行役員CSOを務め、経産省の検討会や内閣府のクールジャパン戦略ワーキンググループの委員も兼任する。

「シワが消える」と言えない日本、規制が壁に

日本と韓国では化粧品の表現規制に差がある。日本では「シワが消える」などの効能を謳うには医薬部外品としての承認が必要で、広告表現は厳しく制限される。一方、韓国コスメは機能性化粧品として比較的自由にアピールでき、SNSで「即効性」を訴求しやすい。この規制の違いが、SNS時代のマーケティング競争で日本に不利に働いている。

濱田氏は「日本の化粧品は品質が高く、実際に効果があるのに、表現規制によってその価値を伝えきれていない。海外では日本の規制が理解されず、『なぜ日本メーカーは効能を言わないのか』と逆に疑われることもある」と指摘する。

韓国コスメの脅威、SNS認知→購買の速さ

韓国コスメはSNSを活用したマーケティングで急成長している。インフルエンサーによる拡散からECでの即時購入まで、導線がスムーズに設計されている。2025年の韓国化粧品輸出額は約100億ドル(約1.5兆円)と推定され、日本の約3倍に達する。

日本勢もSNS活用に力を入れ始めているが、規制や企業文化の違いからスピード感で劣る。アイスタイルもブランド事業に参入し、メーカーとしての実務経験を活かした支援を展開している。濱田氏は「プラットフォーマーでありながらメーカーの苦労も理解している。その知見を業界全体に還元したい」と語る。

輸出拡大には越境ECと現地パートナーシップが鍵

政府目標達成には、越境ECの強化と現地企業との連携が不可欠だ。現状、日本の化粧品輸出は中国市場への依存度が高く、地政学リスクも抱える。東南アジアや欧米への販路拡大が急務となっている。

アイスタイルは「@cosme」のグローバル展開を進め、海外の消費者向けに日本の化粧品情報を発信。越境ECサイトとの連携も強化している。濱田氏は「日本の化粧品は品質で勝負できる。あとは認知度と購買のしやすさをどう高めるか。SNSとリアル展示会の両輪で攻めたい」と述べ、今後の戦略に意欲を示した。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ