熊本県八代市の「イオン八代ショッピングセンター」が、ゆめタウン八代やイオンモール熊本との競争に敗れ、フードコートが全滅し専門店エリアにも空き区画が目立つ深刻な状況にある。ショッピングセンター研究家の坪川うた氏が現地を調査し、地方都市のモールがより巨大な商業施設に飲み込まれる弱肉強食の構図を明らかにした。
地元購買率の低下が加速
2012年度の報告書によれば、八代市の地元購買率は低下傾向にある。特に、紳士服やスポーツ・レジャー用品など高額品・非日常品の購買率が大幅に低下し、食品や日用雑貨品は比較的維持されている。この背景には、熊本市や宇城市、嘉島町への大型ショッピングセンターへの流出があると分析されている。
一例として、2005年10月に嘉島町に開業した「ダイヤモンドシティ・クレア」(現・イオンモール熊本)の影響は大きい。同施設は店舗面積約5万2000m²、専門店約160店舗、駐車場約4500台で開業し、その後リニューアルで専門店約200店舗、駐車場約5000台に拡張。八代市の2モールをはるかに上回る規模で、県内随一の集客力を誇る。
地元の記憶と現実
坪川氏は熊本県出身で、幼少期には普段は地元のスーパーやモールで買い物をし、連休には車で「ダイヤモンドシティ・クレア」へ連れて行ってもらったという。今でも「クレア」の愛称で親しまれ、いつ訪れても賑わっていた記憶がある。しかし、イオン八代SCはその恩恵を受けられず、休日のショッピング需要は大型店に奪われている。
「食料品や日用品は近所で買うとしても、休日のショッピングは『クレア』をはじめとした大型店に出向く県民がたくさんいることは想像に難くない」と坪川氏は指摘する。
弱肉強食の連鎖
この現象は八代市だけではない。水俣市の「エムズシティ」も同様の道をたどっている。かつて「寿屋水俣店」だったこのモールは、郊外大型店の出現により買い物客を八代市や出水市へ奪われ、現在は空き区画が増えている。そして八代市の買い物客は、さらに巨大な嘉島町や宇城市、熊本市のモールへ流出している。
「水俣市のかつての『寿屋水俣店』、今の『エムズシティ』と、八代市の『イオン八代ショッピングセンター』の歴史には、地方都市の大型店がより大きな店舗に飲み込まれ、その店舗もさらに巨大な店舗に飲み込まれていくという弱肉強食の構図が表れている」と坪川氏は解説する。
フードコート全滅の実態
実際にイオン八代SCを訪れると、フードコートは全滅状態で、専門店エリアも空き区画が多数見られる。かつては地元の買い物客で賑わったが、ゆめタウン八代やイオンモール熊本との競争に敗れ、集客力が低下。現在は一部のテナントを除き、閑散とした雰囲気が漂う。
坪川氏は「地方都市のモールは、より大規模な施設に顧客を奪われると、再生が難しい。イオン八代SCも、ゆめタウンやイオンモール熊本という巨大なライバルに囲まれ、生き残りに苦戦している」と分析する。
このように、熊本県の地方都市では、モール間の競争が激化し、勝者と敗者が明確に分かれている。イオン八代SCの衰退は、日本の地方商業の縮図とも言えるだろう。



