上司の「なんか違う」に三流は引き下がる…真意を引き出す一流の切り返しとは
上司の「なんか違う」に三流は引き下がる…一流の切り返し

職場で上司から「この企画、全然ダメだね。やり直して」と言われたら、どう反応すべきか。準備に3日かけた企画を、中身も見ずに否定されれば腹が立つのは当然だ。しかし、起業家で株式会社DIL共同創業者の川岸宏司氏は、こうした瞬間を「言語化のトレーニング」に変えるべきだと説く。

怒りは「自分は正しい」という確信から生まれる

川岸氏によれば、怒りは他の感情と性質が異なる。悲しみは「自分が傷ついた」と認めた上で生まれ、不安は「わからない」と自覚した上で生まれる。しかし怒りだけは、「自分は正しい」と確信した状態で発火するという。川岸氏自身、20代前半までは理不尽な取引先や筋の通らない上司に頻繁に怒っていたが、怒っている本人に自覚はなかったと振り返る。

「だからこそ、視点のスイッチが必要です。自分から相手へ切り替えるのです」と川岸氏は強調する。具体的には、「なぜこの人はこんな言い方をしたのか」を相手の立場から本気で考える「完全憑依」という手法を使う。

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仮説を3つ立てて相手の立場を想像する

例えば上司の「全然ダメだね」に対して、以下の仮説を頭の中で並べる。

  • この上司自身が、さらに上の立場からプレッシャーをかけられて余裕がなかった
  • 企画の方向性が、まだ共有されていない経営方針とズレていたが、方針自体を部下には言えない立場だった
  • そもそも言語化が苦手で、「ダメだね」以外の語彙を持っていなかった

3つ目の仮説を考えたとき、「あの人、感情の言語化ができていないだけでは?」と笑えてくるかもしれない、と川岸氏は述べる。

「何が不正解か」を引き出す質問が鍵

川岸氏は、上司の雑な指示に対しては「何が正解か」ではなく「何が不正解か」を明らかにする質問が有効だと指摘する。例えば、「この企画のどの部分がダメなのか、具体的に教えていただけますか?」ではなく、「この企画で絶対に変えてはいけない部分はどこですか?」と問うことで、上司の曖昧な言葉を具体化できるという。

この手法は、川岸氏の著書『なぜ、あの人の言葉は心に響くのか』(大和書房)で詳しく解説されている。同書では、感情を分解して言語化する方法や、焦点のぼやけた言葉を翻訳する技術も紹介されている。

「次」につながる3つの質問

川岸氏は、上司の曖昧な返答に対して「逆言語化」を使うことも提案する。例えば「そうじゃない」と言われたとき、その「そうじゃない」を言葉にさせる質問を投げかける。具体的には「何が『そうじゃない』のか、3つ挙げてください」と迫ることで、上司の真意を引き出せるという。

このようなコミュニケーション術は、単に怒りを抑えるだけでなく、職場での生産性向上にもつながる。川岸氏は「感情をコントロールし、相手の立場に立って考えることで、仕事の質は格段に上がる」と結論づけている。

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