1粒30円のチョコレートで利益を生む仕組み
チロルチョコは、1粒30円という低価格帯でありながら、60年以上にわたって愛され続けている。原価高騰が進む中でも価格維持に努め、独自の戦略で利益を確保している。その秘密は、年間約50種類にも及ぶ新商品開発と、コアなファンとの強固な関係構築にある。
年間50種類の新商品とヒットの裏側
チロルチョコの新商品は年間約50種類に上り、さらに各コンビニ限定の商品も開発されている。最近のヒット商品として「カラースプレー」が挙げられる。これは製菓材料で、チョコバナナなどにかけるカラフルなトッピングをイメージしたものだ。ある界隈でカラースプレーをかけて食べるブームが起きていることに着目し、社内にカラースプレー好きがいたことが開発のきっかけとなった。その結果、「カラースプレーをわかってる」「攻めてる」と注目され、品切れが懸念されるほどの人気となった。
挑戦的な商品「サウナチロル」の誕生
2024年には、サウナ体験を再現した「サウナチロル!?」を発売。ヒノキのフレーバーを使用するなど工夫を重ね、1粒でサウナ体験を表現した。この商品も、サウナ好き社員の熱量が原動力となり、温泉施設に置いてもらうなど販路を広げた。このように、一見攻めすぎと思えるユニークなアイデアを次々と形にできるのは、独自の開発体制にある。
独自の開発体制とファンベースマーケティング
開発部は、味を決める研究室、パッケージデザインなどを行う企画室、ファンとのコミュニケーションを行うマーケティング室の3室で構成され、商品開発は3つのチームが連携して行う。特に近年重視しているのは「ファンベースマーケティング」だ。メディア向けに社内の様子を発信したり、社員と交流できるファンイベントを開催したりしている。時にはファンからの声を開発に生かすこともある。
コアなファン「チロリスト」の存在
チロルチョコのメイン顧客層は30~40代女性で、購入場所はコンビニ、スーパー、ドラッグストアなど。オフィスが多い立地のコンビニでは仕事の合間の息抜きに1粒タイプが、スーパーやドラッグストアでは袋入りタイプが子どもと食べるおやつとして売れる。その中で、新商品が出れば必ず買う、パッケージやグッズを集める、SNSで公開するなどのコアなファンが存在する。ファンが「チロラー」「チロリスト」などの名称で活動していることを知り、社長と相談の上、公式のファン名称として「チロリスト」が採用された。川崎氏は「チロルチョコはパッケージがきれいに剥がれるので、コレクションしている方も多い」と語る。
生き残りの秘訣:低価格とファンとの絆
原価高騰の中でも1粒30円を維持するのは大変だが、チロルチョコは年間50種類もの新商品を投入し、ファンベースマーケティングでコアなファンを獲得することで、低価格帯でも利益を出す仕組みを構築している。60年超の歴史の中で進化を続けるチロルチョコの戦略は、他の菓子メーカーにも参考になるだろう。



