「1粒30円」で利益を出すチロルチョコの驚異のビジネスモデル
1粒30円で利益を出すチロルチョコの驚異のビジネスモデル

60年以上の歴史を持つチロルチョコの起源

1粒30円のチロルチョコは、コンビニのレジ横に並ぶ定番菓子として、世代を超えた人気を誇る。その歴史は60年以上前にさかのぼる。チロルチョコを生み出したのは、1903年に福岡県田川市で創業した松尾製菓だ。田川市は炭鉱の街で、当初は炭鉱作業員向けにキャラメルなどの砂糖菓子を販売する商店としてスタートした。

現在、秋葉原に本社を置くチロルチョコは、松尾製菓から商品企画・販売部門を分離し、2004年に設立された。工場は松尾製菓が創業地の田川市で運営している。

「3つ山」からキューブ状への進化

チロルチョコの誕生は1962年。当初は「3つ山」と呼ばれるバータイプで、子どものお小遣いで買える10円で販売された。中にはヌガー(砂糖や水飴などから作られる)が詰められ、濃厚な甘さとボリュームが特徴だった。チョコレートが溶けた後も口の中でヌガーを楽しめる構造が人気を集めた。

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しかし、現在のようなキューブ状の形になったのには理由がある。すべてをチョコレートにしてしまうと採算が合わなかったため、中身にヌガーを入れることでコストを抑えつつ、満足感を高める工夫がなされた。この形状が、1粒30円という低価格を実現する鍵となった。

1粒30円で利益を出す仕組み

原価高騰が続く中、1粒30円の価格を維持するのは容易ではない。チロルチョコは、原材料の高騰に対して生産効率の向上や、主力商品に集中する「1本足打法」で対応してきた。ヌガーを活用した独自の製法により、チョコレートの使用量を抑えながらも、味わいや食感で満足感を提供している。

また、定番商品のコーヒーヌガー味や復刻版のミルクヌガーなど、シンプルながらも根強い人気を誇るラインナップが、安定した需要を支えている。

ダロワイヨとの異色コラボレーション

最近では、フランスの老舗洋菓子店ダロワイヨとのコラボ商品「チロルチョコ〈ダロワイヨあまおうニャカロン〉」(54円、税込)がローソンで発売され、話題を呼んだ。販売期間は5月26日からなくなり次第終了。高級洋菓子と駄菓子の王様という意外な組み合わせは、チロルチョコの「次なる一手」を象徴している。

チロルチョコの担当者は、コラボの背景について「新しい顧客層へのアプローチと、ブランドの価値向上を目指した」と説明している。

新たな課題:離反層への対応

チロルチョコは、長年愛されてきた一方で、若年層や新たな消費者への訴求力に課題を感じている。従来の駄菓子ファンだけでなく、現代の多様な嗜好に対応するため、コラボ商品や期間限定フレーバーの開発を積極的に進めている。

サウナ体験を再現した「サウナチロル」など、ユニークな商品も投入し、話題性を高めている。これらの取り組みは、SNSでの拡散を狙い、新たなファン層の獲得につなげる狙いがある。

郷愁を誘う昭和のアイテムとしての価値

チロルチョコは、昭和の駄菓子文化を象徴する存在として、郷愁を誘う。当時の子どもたちが数十円のお小遣いで買い求めた市場で、独自の進化を遂げ、現在もコンビニの定番として生き残っている。その背景には、低価格でありながらも、品質と味わいを妥協しない姿勢がある。

原価高騰の中でも価格維持に努める姿勢は、消費者の信頼を獲得し、長期的なブランド価値の向上につながっている。

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