愛媛県のJR松山駅高架下の商業エリアに、塩ソフトクリームを求める人でにぎわう小さな店がある。「with salt 伯方の塩」は、伯方塩業が初めて手がけたコンセプトショップだ。2024年9月のオープン以来、大三島工場でしか食べられなかった塩ソフトクリームを看板メニューに掲げ、大繁盛している。オープンから数カ月は本社からも人を派遣しないと捌ききれないほどの人気だ。
塩の情報発信拠点を目指す
店のコンセプトは「塩の魅力やおもしろさに出会えるひとときを提供する」。伯方塩業の石丸一三社長は、「瀬戸内しまなみ海道が全線開通した翌年の2000年に稼動した大三島工場に、当時から伯方の塩や加工品を販売する売店を設置していました。数年後、塩ソフトクリームを販売したところ評価され、リピーターも増えました。そうしたバックグラウンドの中、JR松山駅から出店の声をかけていただき、塩ソフトクリームを看板に、塩というシンプルなテーマでつながったさまざまなアイテムを売り始めました」と振り返る。
同店では、塩ソフトクリーム(税込み500円)のほか、塩チョコクロワッサン(同180円)、クリーミー塩大福(同260円)などを提供。伯方の塩のロゴ入りグッズも販売し、塩の情報発信拠点としての役割を担う。
減塩時代にあえて塩を押し出す理由
健康志向の高まりで減塩が叫ばれる中、あえて塩づくしの店を仕掛けるのはなぜか。石丸社長は、「塩は生命維持に不可欠なミネラル。正しい知識と使い方で、料理の味を引き立てる。当社は塩の魅力を伝えたい」と語る。国が塩の品質や安全性よりも大量生産に舵を切った中、伯方塩業は伝統的な製法にこだわり、差別化を図っている。
同社はかつて「一口10万円、無担保無保証、塩による出世払い」で資金を集めたユニークな経歴を持つ。この手法は、塩を通じた地域貢献とブランド認知に貢献した。
今後の展開:松山空港への出店
コンセプトショップの成功を受け、伯方塩業は松山空港にも飲食店を出店する計画だ。石丸社長は、「塩をテーマにした新たな食体験を提供し、観光客にも塩の魅力を発信したい」と意気込む。減塩時代にあっても、塩の価値を再認識させる取り組みが注目される。



