財務省が金の輸出規制を強化した影響で、貴金属買取企業の輸出審査が従来の1~2日から2~3週間へと長期化している。ある買取企業のトップが匿名を条件に本誌のインタビューに応じ、現場の実態を詳細に語った。
輸出審査が最大3週間に、キャッシュフローに打撃
インタビューに応じた買取企業トップは、税関の審査・検査が以前は1~2日で完了していたが、現在は1週間から2週間、場合によっては3週間かかるようになったと証言。提出を求められる書類も増加したという。「弊社にとっては提出できない書類はなく滞りなく対応できているが、2週間も3週間も商品を寝かせる状態が続くのは経営上マイナスだ」と述べ、キャッシュフローの悪化を懸念する。
同社はキャッシュフローを最優先し、輸出予定だった貴金属を国内流通に振り向けているという。この対応は同社だけでなく、業界全体に広がっている可能性がある。
財務省の輸出規制強化の背景
財務省は金の密輸を防ぐため、輸出規制を強化した。これにより、貴金属の輸出には厳格なチェックが実施され、海外事業者が急増する中で、税関の負担も増大している。買取企業は規制の大波を直接被っており、経営戦略の見直しを迫られている。
「密輸されたゴールドと知っていながら買い取ることはありえない」とトップは強調し、自社のコンプライアンス体制に自信を示す一方で、規制強化に伴う業務負荷の増大を課題として挙げた。
業界への影響と今後の見通し
輸出審査の長期化は、貴金属買取業界全体のキャッシュフローを圧迫し、国内市場への供給シフトを促進する可能性がある。一方で、規制強化の目的である密輸防止効果については、業界関係者の間で評価が分かれる。財務省は今後も監視を継続する方針で、買取企業はさらなる規制強化に備える必要がある。



