ふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」を運営するアイモバイルの加藤秀樹上席執行役員は、総務省によるポイント付与禁止や手数料引き下げ要請など規制強化を「チャンス」と捉え、独自返礼品の開発で差別化を進める考えを示した。制度の「原点回帰」が叫ばれる中、ショッピング化と地域応援の両立について語った。
ふるなびの独自戦略と差別化
ふるなびは7月で13年目を迎える。黎明期から電力返礼品や旅行ポイントなど、他サイトにはないサービスを提供してきた。特に高額寄附者向けのコンシェルジュサービスや、確定申告の迅速化など利便性向上にも注力している。
「例えば茨城県に寄附すると、県内で作られた電気を返礼品としてお返しする仕組みがあります。電気代をふるさと納税で支払えるというものです。地場証明書を添付し、地場産の電気として認められています。他のサイトとはだいぶ差別化した返礼品の開発を進めてきた自負はあります」と加藤氏は語る。
中間事業者の役割と連携
返礼品の掲載にあたっては、自治体とポータルサイトの間に入る中間事業者が重要な役割を果たす。加藤氏は「基本的には自治体に対してふるなびに掲載しませんかと案内し、契約を結びます。実際は中間事業者が、返礼品を提供する事業者に要望を出したり、ふるさと納税に関わる業務を受託したりしています」と説明する。
中間事業者からトレンド情報を得たり、逆に新たな返礼品の提案を行ったりすることもあるという。
ポイント付与禁止はチャンス
総務省は2025年10月以降、ポータルサイトによる返礼品以外のポイント付与を禁止する方針だ。これにより、これまでポイント還元率で競っていたサイトは戦略の見直しを迫られる。しかし加藤氏は「ポイント付与禁止はむしろチャンス」と捉える。
「ポイントで選ばれるのではなく、返礼品の質や自治体への貢献度で選ばれる時代になる。われわれは独自返礼品の開発で培ったノウハウを活かせる」と述べ、制度の原点である「地域応援」に回帰することが自社の強みを発揮する場になると語った。
利便性向上とショッピング化のジレンマ
ふるさと納税は本来、地域貢献のための制度だが、近年はショッピング感覚で利用する人が増えている。加藤氏は「利便性を追求するとどうしてもショッピング化してしまう側面がある。しかし、地域応援という本来の目的を忘れてはいけない」と指摘する。
その上で「利便性向上と原点回帰は両立可能。例えば、寄附者が自分の応援したい自治体を選びやすい仕組みや、返礼品を通じて地域の魅力を伝える工夫を続けていきたい」と述べ、ポータルサイトの役割を強調した。
今後の展望
ふるなびは今後も独自返礼品の開発を強化し、中間事業者との連携を深める方針だ。加藤氏は「ふるさと納税の市場はまだ成長余地がある。規制強化を機に、本当に価値のあるサービスを提供できる事業者が生き残る」と語り、競争激化を見据えた戦略を示した。



