家電四天王が池袋に集結、ヨドバシ進出で泥仕合激化
家電四天王が池袋に集結、ヨドバシ進出で泥仕合

東京・池袋で家電量販店の勢力図が大きく変わろうとしている。西武池袋本店の一部にヨドバシカメラが進出し、長らく「ビックカメラの街」として知られた池袋に、ヨドバシ、ビックカメラ、ヤマダデンキ、ノジマの「家電四天王」が集結した。ライターの宮武和多哉氏は「ヨドバシはもはや電器屋さんではない。勝敗を分けるのは家電の価格だけではなくなっている」と指摘する。

ヨドバシが悲願の池袋進出、背景に巨大投資

1日230万人が行き交う池袋駅に、ヨドバシカメラは悲願の進出を果たした。国内有数の百貨店「西武池袋本店」を3000億円かけて取得し、さらに1000億円以上をかけて改装したうえで出店。開店後も、池袋東口を本拠地としてきたビックカメラとの死闘が待つ。

国内家電需要が縮小する中、なぜヨドバシはあえてライバルの目の前に旗艦店を出したのか。年間売上高は1兆円以下(2024年度は8162億円)にもかかわらず、池袋以外でも巨大投資を繰り返す理由について、宮武氏は現地を歩き、むしろビックカメラの方が危機にあると感じたという。

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立地が勝敗を分ける:ビックは駅前、ヨドバシは駅直結

JR池袋駅ホームの発車メロディは「ビックビックビック、ビックカメラ」で、駅構内はビックカメラの広告だらけ。改札口至近には本館やIT Tower店など4軒のビックカメラがあり、区のイベント協力や成人式の記念撮影など、どこに行ってもビックカメラ一色の様相だ。

しかし、新店「ヨドバシカメラ マルチメディア池袋」(以下ヨドバシ池袋)の存在で、人々の行動様式が変わるかもしれない。ポイントは立地で、「ビックは駅前、ヨドバシは駅直結」なのだ。ビックカメラ本館・パソコン館がある東口メインエリアは駅や地下街と直結しておらず、短距離だが駅を出て地上に上がり歩く必要がある。一方、ヨドバシ池袋はJR山手線、地下鉄丸ノ内線・有楽町線などが集積した地下改札から最短20秒で入店できる。たとえビックカメラ目的で来店しても、至近距離ではついヨドバシに立ち寄ってしまうだろう。

地下街「池袋ショッピングパーク」でもビックカメラ方面にアクセスできるが、2023年に百貨店・地下街がともにヨドバシ傘下になって以降、道案内の行先表示が不自然に消えた。表示がないと、地下道経由のルートは土地勘がある人しか使えない。ビックカメラがいくら広告で誘導しても、各路線の改札と直結するヨドバシが人流を根元から吸い取ってしまう。オープンセール期間中も、ビック・ヤマダ方面の動線の賑わいは薄く、集客面で苦戦しているように見えたという。

ヨドバシの脱家電戦略、ビックは家電に特化

ヨドバシの強みは「脱家電戦略」にある。同社は家電以外に、酒類、医薬品、玩具、食品など幅広い商品を展開し、顧客の滞在時間を延ばすことで売上を伸ばしてきた。一方、ビックカメラは家電以外にほとんど手を出さず、その戦略は「諸刃の剣」と宮武氏は指摘する。家電需要が縮小する中、ビックは価格競争に巻き込まれやすく、収益性が低下するリスクがある。

実際、ヨドバシの池袋店は西武池袋本店の半分を占有し、百貨店の客層を取り込むことで、家電以外の購買も期待できる。一方、ビックカメラは最高の立地にあるものの、駅直結ではないため、ヨドバシに客を奪われる可能性が高い。

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陣取り合戦の行方

池袋を巡る家電量販店の競争は、2000年代初頭から続く陣取り合戦の新たな局面だ。JR経済圏を取り込んだビックカメラに対し、ヨドバシは池袋を諦めず、今回の進出に至った。各社が鎬を削る中、勝敗を分けるのはもはや家電の価格ではなく、立地や品揃え、顧客体験などの「家電以外の要素」だと宮武氏は結論づける。

今後の行方は、ヨドバシの脱家電戦略がどれだけ奏功するか、そしてビックカメラがどのように対抗するかにかかっている。池袋の街は、家電四天王の泥仕合の舞台として、しばらく注目を集めそうだ。