建設業の人手不足、日本型発注の限界と新たな受発注システムの必要性
建設業の人手不足、日本型発注の限界と新システム

建設業界は長年にわたり人手不足に悩まされており、その根本原因として日本型の発注システムが技能者を報われにくくしている構造がある。生産性を向上させても、その恩恵が技能者の収入や働き方に十分に反映されない現状が、業界の魅力を損ねている。

データ活用で顧客と技能者を結ぶ新たなビジネスモデル

建設業界で先進的な取り組みを行う企業として、JM(仮名)が注目される。JMでは、発注者を「顧客」、建設技能者を「サービスマン」と呼び、スマートフォンなどを活用して点検や修繕のデータを記録。このデータは顧客にも提供され、故障の発生しやすい設備や建築部材を特定し、より適切なものへの交換を提案することで、トータルの維持管理費削減につなげている。

この仕組みにより、顧客の困りごとを解決することで継続的な仕事の獲得が可能となり、サービスマンにとってもJMから安定的に仕事を得られるため収入が安定し、自身の能力を活かした働き方が実現する。優秀なサービスマンの中には、集中的に多くの仕事を請けて高収入を得た後、長期休暇を取得し家族と海外旅行に出かける者もいるという。

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需要と供給のバランスを取る新たな受発注システムの必要性

建設業界で、JMのように仕事の発注量と受注量を調整しながら効率的に事業を展開する仕組みを構築している企業は稀である。しかし、今後人手不足が深刻化する中で、必要な建設投資を持続的に実施するためには、需要と供給のバランスを取る新しい受発注システムが不可欠となる。

日本型発注システムの限界として、発注者と受注者の関係が非対称であり、技能者の価値が適正に評価されにくい点が挙げられる。生産性向上の成果が技能者に還元されず、業界全体の魅力低下につながっている。

発注者と対等な調整役がプロジェクト管理を効率化

先に紹介した架空送電線工事会社の中部電気工業は、今年3月に大和ハウス工業が完全子会社化した住友電設(今年10月にセムリンクスに社名変更予定)に株式譲渡し、6月にグループ入りした。谷氏も社長を退き、取締役に就任。住友電設では、大和ハウス工業が注力するデータセンターと電力施設を結ぶ架空送電線の施工能力強化に取り組んでいる。

全国を10エリアに分けた一般送配電事業者は、東京電力パワーグリッドなど10社存在する。人手不足が深刻化する中で、必要な工事を着実に実施するには、発注者と対等な立場で効率的にプロジェクトを管理できる調整役が必要となる。住宅から物流、データセンター、まちづくりまで幅広い事業を展開する大和ハウス工業には、その役割が期待される。

エネルギーインフラ維持のための生産性向上

日本の経済成長に欠かせないエネルギーインフラを維持するためには、さらなる生産性向上が求められている。新たな受発注システムの導入や、発注者と対等な調整役の存在が、人手不足を克服し、持続可能な建設業界の実現につながるだろう。

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