ワコムは5月20日、筆頭株主である英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)から提出された株主提案に対し、反対声明の内容を一部変更した。同社の創業者である元代表取締役が代表を務める一般社団法人「コネクテッド・インク・ビレッジ」(CIV)との関係を根本的に見直すと発表した。
オフィス賃貸停止と家族の参加禁止
ワコムは、オフィス一角の賃貸停止と、役員の家族が関連イベントに参加する慣行を禁止する方針を明確にした。これにより、CIVとの新規活動を停止した上で関係性を精査する。また、CIVへの支払いは2026年3月期以降行われておらず、今後も実施しないとした。
AVIの株主提案の背景
AVIはワコムの筆頭株主(持株比率13.8%)であり、創業者である元代表取締役と中島浩一郎COOの解任を求める株主提案を提出していた。その根拠の一つがCIVとの関係だ。AVIは、ワコムが西新宿の東京支社オフィス(住友不動産新宿グランドタワー31階)の一角を同法人に賃貸していたことや、創業者の妻がCIVが主催するイベントにダンサーとして繰り返し参加していたことを「公私混同」と判断していた。
さらにAVIは、CIVに対してワコムから関連当事者間取引として総額2億8000万円に及ぶ支払いがあったことも問題視していた。
ワコムの当初の反対姿勢
5月13日の時点では、ワコムはオフィススペースの賃貸について「正式な契約に基づき適正な対価を受けている」と明らかにしたほか、「家族の参加はボランティアで問題ない」として株主提案への反対を表明していた。しかし、5月18日にCIVとの関係について別途リリースを公表し、「外部から見た分かりやすさ、透明性という観点では、より丁寧な説明と、より厳格な運営体制が必要であった」と認め、CIVとの新規活動を停止した上で関係性を精査すると表明した。
追記によるさらなる対応
今回の追記ではさらに踏み込んだ対応を明示した。CIVへの支払いは2026年3月期から行っておらず、今後も実施しないとした。加えて、同社が主催・共催・スポンサー・施設提供・運営協力するCIV関連イベントへの役員の家族の参加を今後一切禁止することを明らかにした。
取締役会の判断
なお、取締役会は社長・COOの解任には引き続き反対の立場で、「両氏は持続的な企業価値向上に不可欠な人材であり、解任は妥当性を欠く」との見解を維持している。株主提案の賛否は、6月25日開催予定の第43回定時株主総会で株主の投票によって決まる。



