電気自動車(EV)への移行が加速する中、自動車部品大手各社は生き残りをかけた戦略を打ち出している。従来のエンジン車向け部品の需要が減少する一方、EV向けの新たな部品やシステムの開発が急務となっている。
部品点数削減とモジュール化の波
EVはエンジン車に比べて部品点数が約3分の1に減少すると言われる。このため、部品サプライヤーは従来のビジネスモデルを根本的に見直す必要に迫られている。各社は、単品部品の供給から、複数の機能を統合したモジュール単位での供給へとシフトしている。
例えば、デンソーは熱マネジメントシステムのモジュール化を推進。バッテリーやモーターの冷却・加熱を統合制御することで、EVの航続距離向上に貢献する。同社は「EV向けの熱マネジメント部品は、2030年までに売上高を現在の3倍に拡大する」と目標を掲げている。
アイシンはeアクスルで勝負
アイシンは、モーターやインバーター、ギアボックスを一体化した「eアクスル」に注力。同社は「eアクスルの生産能力を2025年までに年間200万台に引き上げる計画」だと明らかにした。eアクスルは、EVの駆動系の中核部品であり、各社が競争を繰り広げている。
また、アイシンは従来のエンジン車向け部品の生産を縮小し、EV関連への投資を加速。2023年度のEV関連売上高は約1000億円だが、2030年度には1兆円を目指すとしている。
ボッシュやコンチネンタルも攻勢
欧州の部品大手も同様の戦略を取る。ボッシュは、EV向けのパワートレインやブレーキシステムの電動化を推進。コンチネンタルは、タイヤとセンサーを組み合わせたシステムで、EVの効率向上を図っている。
こうした動きの背景には、主要国でのガソリン車販売禁止方針がある。欧州連合(EU)は2035年までに、日本政府も同調して、新車販売をすべて電動車とする目標を掲げている。
生き残りにはスピードと協業が鍵
部品大手の生き残りには、開発スピードと協業が鍵となる。デンソーはトヨタ自動車との連携を深め、アイシンはスズキやマツダとの協業を進めている。また、スタートアップとの協業やM&Aも活発化している。
一方で、EVシフトに乗り遅れた部品メーカーは淘汰される可能性が高い。特に、エンジン関連部品に特化した中小企業は、事業転換が急務となっている。
自動車業界は100年に一度の変革期にあり、部品大手の戦略が今後の業界地図を大きく変えることになる。



