日本政府は12日、物価高騰の影響緩和を目的とした新たな経済対策を閣議決定した。岸田文雄首相は記者会見で「国民生活を守るため、迅速かつ重点的に対策を講じる」と述べた。対策の総額は10兆円を超え、その財源は今年度の予備費などで賄われる。
電気・ガス料金の補助を来年1月から再開
対策の柱は、エネルギー価格の高騰対策だ。電気・ガス料金の補助について、今年9月で一旦終了したが、来年1月から3月まで再開する。補助額は、電気料金が1キロワット時あたり3.5円、都市ガス料金が1立方メートルあたり10円となる。政府はこれにより、一般家庭の負担が月額約500円軽減されると試算している。
また、ガソリンや灯油などの燃料油についても、元売り会社への補助金を継続し、価格高騰の抑制を図る。現在の補助率は1リットルあたり15円程度だが、来年1月からはさらに拡大する方向で調整中だ。
低所得世帯に3万円の給付金
低所得世帯への支援として、住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり3万円の給付金を支給する。また、子育て世帯向けには、児童1人あたり2万円を追加給付する。これらの給付金は、年内に自治体を通じて順次支給される見込みだ。
さらに、年金生活者やひとり親世帯など、特に影響の大きい世帯には、別途1万円の臨時給付金が支給される。政府は、これらの支援により約2000万世帯が対象となるとしている。
中小企業への支援も拡充
物価高の影響を受ける中小企業向けには、事業継続のための補助金や融資制度を拡充する。具体的には、省エネ設備の導入や価格転嫁の促進に向けた支援を強化する。また、賃上げに取り組む中小企業に対しては、税制優遇措置を拡大する方針だ。
岸田首相は「中小企業の価格転嫁を促進し、適正な価格形成を実現する」と強調。政府は、取引適正化に向けたガイドラインを年内に策定し、監視体制を強化する。
経済対策の効果と課題
今回の経済対策について、第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストは「家計の負担軽減には一定の効果があるが、一時的な対策に過ぎない。中長期的な成長戦略が必要だ」と指摘する。また、日本総合研究所の山田久主席研究員も「給付金の対象が限定的であり、より広範な支援が必要ではないか」と述べている。
政府は、今回の対策により、消費者物価指数の上昇率を0.5ポイント程度抑制できると試算している。しかし、物価高は依然として続いており、今後の追加対策の必要性も指摘されている。



