中東情勢の緊迫を受けて再開されたガソリン補助金について、今月17日から支給額が1リットルあたり51円と過去最高を更新した。補助金継続には、物価高対策を重視する高市早苗首相の意向があるとされるが、予算規模は累計9兆円に上る。政府は出口戦略を描けずにいる。
補助金の経緯と支給額の推移
ガソリン補助金は2022年に開始。昨年末に打ち切られたが、イラン情勢の悪化で今年3月に復活した。全国のガソリン平均価格を1リットルあたり170円程度に抑えられるよう、上ぶれが見込まれる分を支給する仕組みだ。
今月17日からの2週間の支給額は、1リットルあたり51円。これまでの最高額だった4月上旬の同49.8円を上回った。政府は今月1日、10月末までに必要な財源として約6千億円を予備費から支出すると決めたが、原油価格が当時の想定を上回っているため、今の水準が続くと財源が不足する恐れがある。
政府・与党内の見直し論と継続の背景
補助金をめぐっては、政府・与党内では春ごろから見直し論が強まっていた。自民党の小林鷹之政調会長は「現在の支援の水準を続けていくのは現実的ではない」と指摘。萩生田光一幹事長代行も「全く見直しせずに続けるのもかなり無理がある」と発言していた。
しかし、7月に内閣支持率が下落傾向になると、官邸幹部からは「補助金をやめれば支持率がまた下がる」との声も漏れた。結局、物価高への不満や内閣支持率への影響を懸念し、継続を優先している。
170円という目標の根拠と財政への懸念
そもそもガソリン価格の水準を170円に設定する理由について、政府から詳しい説明はほとんどない。首相は3月の会見で「私が就任する前の1年間はガソリンの小売価格が平均178円だった。今後、価格の上昇が見込まれるが、170円程度に抑制する」と説明した。
与党関係者は「首相はとにかくガソリン価格を下げたいという立場だった」と明かし、続けた。「はじめは160円台を考えたが、どれだけ長期化するかもわからないなかでいきなり160円台だと大変なことになりかねない。最終的に170円台に落ち着いたようだ」
ただ、原油などエネルギーの供給の不安が高まる中、その需要を下支えするような政策には批判も根強い。加えて、高市政権の拡張的な財政政策には、財政悪化の不安がつきまとい、長期金利がじわりと上昇し、国民生活への影響も懸念されている。
ある政府関係者はこう嘆いた。「飲食料品の消費税率を引き下げる来年4月までは、ガソリン補助金はやめられないかもしれない」



