長期金利が1996年以来、30年ぶりの高水準となる3%を突破した。政府と日本銀行は、金融市場の懸念や警鐘を直視し、財政・金融政策を行っていかねばならない。
「良い上昇」と「悪い上昇」
長期金利には「良い上昇」と「悪い上昇」がある。好景気により物価や賃金が上昇し、経済成長に伴うものなら良い上昇だ。だが、通貨価値の下落や財政悪化への懸念が主因なら、景気に打撃を与える悪い上昇となる。現在の金利の急上昇は、悪い側面が強いと言えるだろう。
市場では、物価高に対して日銀の利上げが後手に回り、過度な円安も招いているとの見方が強い。6月の利上げから3か月となる今月は、追加利上げが確実視されている。日銀は適切なペースで利上げを進めていく必要がある。
財政への警戒感と影響
一方、金利が上昇している背景には、高市政権の「責任ある積極財政」に対する市場の警戒感もある。来年度予算の概算要求は、前年度から約20兆円増えて総額143兆円前後に上る見通しだ。
金利の上昇が続けば、中小企業の資金繰りが厳しくなる。住宅ローン金利の上昇は、特に現役世代の家計の負担となる。また国債の利払い費が増えれば、投資に回す予算の減少も避けられない。経済の安定成長にはマイナスだ。
政府は、放漫財政に陥らぬよう、来年度予算の編成では事業の必要性を徹底して精査し、新規の国債発行額を抑えていくべきだ。
国際的な視点と課題
米国との関係を良好に保つためにも、財政金融政策の舵取りは極めて重要である。米国側は、日本の長期金利の上昇が米国の金利に波及して、米経済に悪影響を与えることを懸念しているためだ。
ベッセント米財務長官は、主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため訪米した日銀の植田和男総裁と会談し、円安是正につながる日銀の利上げに期待感を示した。市場では、米国からの「外圧」が強まっていると見る向きもある。しかし、米国に言われるまでもなく、日本として適切な政策に努めることは当然だ。
長期金利の上昇は世界的傾向でもある。コロナ禍で巨額の財政出動で景気対策を行った結果、各国とも政府債務が積み上がった。そこに中東危機による原油価格高騰でインフレ圧力が高まった。米国なども長期金利上昇に苦慮し、債券市場の安定は国際的な課題として浮上している。G20やG7(先進7か国)などでの政策協調も検討すべき課題になろう。



