東京バレエ団(斎藤友佳理団長)は11月6~8日、振付家ジョン・クランコ(1927~73年)の代表作「オネーギン」全3幕を、東京・初台の新国立劇場で14年ぶりに上演する。本作はロシアの作家プーシキン(1799~1837年)の韻文小説が原作のドラマチック・バレエ。上演にあたり、斎藤団長とタイトルロールのオネーギンを務める柄本弾(36)が、厳しいライセンスや作品への思いを語った。
厳格な上演ライセンスと14年ぶりの上演
「オネーギン」は1820年代のロシアを舞台に、田舎の地主の娘タチヤーナと帝都育ちの青年貴族オネーギンの悲劇的な恋を描く。音楽はチャイコフスキーの小品やピアノ曲集を集めたもので、同名オペラの音楽は一切使われていない。
「20世紀の三大ドラマチック・バレエ」の一つと称され、世界中のダンサーが憧れる傑作だが、東京バレエ団が日本のバレエ団として初めて全幕上演したのは2010年。2年後の再演を経て、今回は14年ぶりとなる。上演が少ないのは、厳格なライセンスが存在するためだ。
財団の指導者によるトライアウト
「オネーギン」はクランコが芸術監督を務めていたドイツのシュツットガルト・バレエ団で振り付けられた作品で、著作権と上演権は現在ジョン・クランコ財団が管理している。上演には舞台装置や衣装のデザインにも厳しい条件が課され、財団が認可したデザイナーでなければ許可されない。過去2回はドイツのユルゲン・ローゼの装置・衣装が使われたが、今回はイタリアのピエール・ルイジ・サマリターニがデザインしたものをミラノ・スカラ座から借りる。
配役も財団から派遣された指導者の前で行われるトライアウト(実技審査)で決まる。斎藤は「公演数日前に財団から派遣される指導者が見て、そこで合格しなければ、たとえ公演前日でも降ろされる」と説明する。
柄本弾の感慨と斎藤団長のバレエ観
柄本は20代前半、レンスキー役でトライアウトに参加したが配役はかなわず、コール・ド・バレエで参加した。「主役の方たちが踊る『手紙のパ・ド・ドゥ』を舞台袖で見たとき、あまりの美しさに感動してしまって、出演者ながら泣いてしまった」と振り返る。今回オネーギン役を射止めたことについて、「本当に自分の心に残る作品だったので、この作品の中でオネーギンという役を踊りたいという気持ちが芽生えたが、当時は年齢的に若過ぎた。いつかオネーギンを演じられる年齢になったらと思っていたので、チャレンジさせてもらえる機会をいただけて本当にうれしい」と喜んだ。
過去2回の上演でタチヤーナ役を務めた斎藤は、「人が抱く深い感情を、言葉ではなく音楽とバレエの振りで表現できる。ときに言葉以上に、人の内面をバレエはより表現できるんだということを知った。『オネーギン』との出合いがなかったら、私はきっと今日までバレエを続けていなかったと思う」と語った。
制作費高騰とリバイバル基金
権利処理や舞台装置・衣装の借用などにかかる費用に円安も重なり、制作費が高騰。その費用を補うため、「オネーギン」リバイバル基金を募っている。問い合わせはNBS(公益財団法人日本舞台芸術振興会)支援業務室(03・5721・8000)。



