首都圏の不動産価格が高騰する中、新築マンションの平均価格は東京23区で1億3784万円に達している。そんな状況で、住宅コンサルタントの寺岡孝氏は「新幹線通勤移住」という選択肢を提示する。具体的には、東京まで片道33分でアクセス可能な神奈川県小田原市で、3100万円台の物件を購入できるという。これにより、満員電車に乗らずに月8万円の節約が実現可能だとしている。
首都圏マンション購入の現実
不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年度」によると、首都圏の新築マンション平均発売価格は9383万円、東京23区では1億3784万円に上る。一方、リクルートの「首都圏新築マンション契約者動向調査(2025年)」では、実際の契約者ベースの平均購入価格は7324万円(東京23区9598万円)で、多くの世帯にとって住宅取得のハードルは依然として高い。
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」によると、変動金利型が75%を占め、返済期間は「30年超~35年以内」が38.9%で最多。首都圏の新築マンション(平均7324万円)を変動金利1.2%・35年ローンで借りた場合、月返済額は約21.3万円。管理費・修繕積立金・固定資産税を加えると月約26万円となり、共働き夫婦の54%がペアローンを組んでいる。
パワーカップルでもカツカツの家計
月26万円の住居費は、世帯年収1213万円・手取り月約80万円の約33%に相当する。寺岡氏は「教育費・老後資金・緊急時の備えを考えると、家計の余白はほとんど残りません」と指摘。さらにペアローンには構造的なリスクがあり、2人の収入が35年間継続する前提で、育休・時短・転職・病気など収入変動時のリスクが単独ローンより高いと警鐘を鳴らす。
新幹線通勤移住のメリット
寺岡氏は「生活コストを下げるなら、新幹線が通っている街がおススメ」と述べ、通勤アクセスの良さと物件相場の低さを両立できる点を強調。具体的には、小田原駅から東京駅まで新幹線で約33分、定期代は月約3万円。小田原の物件価格は3100万円台で、23区のマンションと比較して月々の住居費負担を大幅に軽減できるという。
試算では、小田原での住宅購入により、東京23区に住む場合と比べて月8万円の節約が可能。さらに、満員電車を避けられるという生活の質の向上もメリットとして挙げられる。
検証:東京を何時に出て何時に帰れるか
寺岡氏は実際のタイムスケジュールを示す。朝7時台の新幹線で小田原を出発し、東京駅到着は7時33分。帰宅は19時台の新幹線で、小田原着は20時過ぎ。通勤時間は片道約40分(乗車時間33分+アクセス時間)で、都心在勤者と遜色ない。
長野の3都市はおススメできない
一方で、長野県の長野市、松本市、上田市は新幹線通勤の候補として挙げられるものの、寺岡氏は「おススメできない」と断言。理由として、東京までの所要時間が1時間20分以上かかり、定期代が月6万円超と高額になるため、コストメリットが薄れると説明する。
どこで買うかで30年後に3000万円の差
寺岡氏は「どこで買うかで30年後に3000万円の差が生まれる」と指摘。例えば、東京23区で1億円のマンションを購入した場合と、小田原で3100万円の物件を購入した場合、住宅ローン返済額や固定資産税の差が累積し、30年後には約3000万円の資産差が生じる試算を示す。
不動産市場に左右されないメリット
新幹線通勤移住のもう一つの利点は、不動産市場の変動に左右されにくいこと。寺岡氏は「将来の資産価値」よりも「いまの生活費」を重視すべきと述べ、月々の住居費負担を軽減することで、教育費や老後資金に回せる余裕が生まれると強調する。



