東海財務局、旧税務大学校跡地を14億円で売却 環境配慮型の二段階入札を初採用
東海財務局、旧税務大学校跡地を14億円で売却 二段階入札を初採用

東海財務局は、名古屋市緑区の旧税務大学校名古屋研修所跡地(約3.45ヘクタール)を、JR西日本プロパティーズ(東京)に14億2600万円で売却した。開発の中身を審査したうえで価格を競う「二段階一般競争入札」を管内で初めて採用し、環境に配慮した戸建て分譲地として生まれ変わる。

二段階一般競争入札とは

二段階一般競争入札は、価格だけで決める通常の一般競争入札と異なり、第一段階で土地利用の企画を審査委員会が審査し、通過した事業者が第二段階で価格を競う方式だ。まちづくりへの配慮と民間の知恵を引き出す狙いがあるという。

東海財務局によると、全国で同方式を活用した国有資産売却事例は過去に7件あるが、住宅地で環境に配慮した形で同方式を使ったのは初めてだとしている。

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売却条件と審査のポイント

研修所跡地は、名古屋市営地下鉄桜通線神沢駅から徒歩20分の距離にあり、市立滝ノ水小学校の近くに位置する。低層の戸建て住宅しか建てられない地域で、財務局は名古屋市と数年にわたり協議し、市の環境施策に沿って売却条件をつくった。

協議の結果、条件は脱炭素、自然との調和、安心安全の3本柱とした。原則として全住戸を、断熱性能を高めてエネルギー消費を実質ゼロに近づける住宅などとすることや敷地の緑化、災害時に一時避難できる広場の確保を求めた。審査の配点は、100点満点のうち、環境と防災で60点を占めた。

売却に至る経緯と今後の計画

企画提案を出したのは、JR西日本プロパティーズの1社だった。提案は審査を通過したが、入札では価格面で国の条件を満たさず、結果として成立しなかった。その後に、第一段階で示された内容を踏まえた条件で随意契約が成立し、売却が決まった。

跡地は約3.45ヘクタールという、名古屋市内では数少ない広大な国有地だが、築40年前後の研修施設(延べ床面積約1万8500平方メートル)が残り、買い手が解体、撤去したうえで開発する。外壁などにアスベストを含む建材が使われているほか、地盤沈下や地下の埋設物も確認されており、こうした事情も応札の判断に影響したとみられる。

JR西日本プロパティーズは地元住民向けの説明で、「分譲地としての戸数や価格帯は未定」としたが、2030年秋頃の入居開始を目指して省エネ住宅の建設や緑地の造成を進めるという。

低層の戸建て住宅しか建てられない地域にあり、財務局内では当初、「通常の一般競争入札で売ればよい」という声もあった。担当者は名古屋市の各部署を訪ね、土地の活用方法を探った。市との協議を重ねるなかで、市の環境計画に沿った脱炭素のまちづくりへとたどり着いた。市の都市計画・環境の担当部長が審査委員に加わり、専門的な知見を持ち寄って条件を精査した。

担当した東海財務局の三ツ本晃代理財部長は「売る以外にも、地域のまちづくりに生かせる方法はないかと考える意識が、職員のなかに育ってきた」という。

二段階方式は、これまで大都市中心部の高層ビルや商業施設など、高度利用が見込める土地で使われることが多かった。低層の戸建て住宅地で、環境配慮を前面に出して用いた例は珍しい。財務局は、低層の住宅地でも使える「最初の例を示した」として、他地域の参考になることを期待している。

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