近江鉄道は、上下分離を機に自らの存在意義を見つめ直し、再生への道を歩み始めている。沿線人口の減少は避けられず、輸送人員の大幅な増加は見込みにくい中、地域に不可欠な鉄道であり続けるために何をすべきか。藤井高明社長に直撃した。
本当に行き詰まってからではダメ
「公有民営」に移行できた要因について、藤井社長は「まだ鉄道以外の事業が元気で、会社として体力のあるうちに、自治体へ相談したこと。これが重要だった」と分析する。「本当に行き詰まってから話をしても、時間的猶予がない。『もうできません』という結論にならざるを得ない。でも当社の場合は、何年もじっくりと協議し、厳しいやりくりの実情を理解してもらえた」と振り返る。
藤井社長は西武鉄道出身で、上下分離後の2025年に社長として着任した。先代や先々代の社長に聞くと、かつては修繕の必要なものを見つけても、申告をためらうような雰囲気だったという。「ジリ貧で傷んだ設備を『まだ大丈夫』と延命し、我慢を重ねていた。沈滞したムードに包まれていただろう」と当時を推測する。
ジワジワと沿線の魅力が広がるのが理想
現在の鉄道部門は「すごく前向きで、いつも活気がある」と藤井社長は語る。上下分離により、設備の更新やサービス向上に集中できる環境が整った。一方で、沿線人口の減少という構造的な課題は変わらない。藤井社長は「鉄道は地域みんなで盛り上げるもの」と強調し、沿線の魅力をジワジワと広げていくことが理想だと述べた。



