廃墟が子どものアートの森に変身:空き家マッチングで理想の買い手を見つけた事例
廃墟がアートの森に:空き家マッチングの力

2017年ごろ、雑木林や竹林に覆われて“廃墟”となっていた広大な物件が、空き家マッチングサービス「家いちば」を通じて、子どものためのアートの森へと生まれ変わった。売り手のAさんは、不動産会社も敬遠する物件だったが、理想の買い手を見つけることに成功した。

見学会には13組が参加、脅しにもめげず11組が申し込み

見学会には13組が参加し、売り手のAさんは「自給自足したい、アーティスト活動をしたい、子どもの環境にいいと思うと多くの人が夢のような場所を想像されていましたが、これだけの広さ、特に雑木林は生半可な覚悟では維持できません。説明会では大変さを強調し、参加者に“脅し”をかけました」と語る。しかし、その脅しはあまり効かなかったらしく、最終的には11組が申し込み、現地でプレゼンを行った。

選ばれたのは「芸術による教育の会」

家いちばでは、一番高い価格を出した人が買えるわけではなく、所有者が譲りたいと思う人に売却する仕組みだ。そこで選ばれたのが、1954年に創立された有限会社「芸術による教育の会」だった。Aさんは「家族で維持し続けるのは難しいと判断、法人に譲ろうと考えていましたし、同社代表の屋嘉部正人さんが最初から売却後もいつでも来てくださいとおっしゃってくださっていたのも決め手になりました。普通、売却してしまえば不動産はその人たちのモノ。以前の所有者とは無縁になりますが、私たちにとっては手放しても大事な場所であることは変わりません。そう言ってくださることにほっとしました」と振り返る。

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美術教室の運営会社には“もってこいの物件”

同社は首都圏の一都三県に100を超す美術教室を運営し、3800人を超す幼児から小学生、中学生が学んでいる。さらに2016年にスタートしたオンライン美術教室「どこでもアートきっず」も展開しており、これらの教室の在籍者を合わせると累計14万人を超すという。そうした活動の一つにサマーキャンプがある。屋嘉部さんは「自然の中でユニークなものを見つけて採取、作品を作ろうと小学4年生以上の100人ほどで毎年、サマーキャンプをやっているのですが、最近のキャンプ場は安全で整備され過ぎており、ホームセンターで竹を買って持ち込むありさま。これでいいのかと疑問を感じ、山を買おうと思いつきました。ただ、首都圏近郊には買える山はなく、整備にも時間がかかる。そんな時にテレビで『家いちば』を見かけ、HPを見たところ、トップにこの物件が掲載されていました。ここだ!とすぐに問い合わせ。現場では6代続いた家の持つエネルギー、場の力に惹かれ、そのまま使いたいと思ってプレゼン。最終的に購入に至りました」と語る。

広大な敷地が教育の場に

個人の住まいとしては維持が難しかった広大な敷地、住宅、蔵、雑木林、竹林は、屋嘉部さんたちが目指す教育のために得難い空間となった。広いスペースが必要な作品作りも存分にでき、壁をキャンバスにお絵描きする子どもたちの楽しそうな姿が見られる。

売り手と買い手の幸せな関係が、廃墟をアートの森に変えた事例として注目される。

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