野村不動産の中村治彦副社長(代表取締役副社長・レジデンシャル事業本部長)が、建築費高騰や人口減少など住まいをめぐる事業環境が激変する中での今後の戦略を語った。同社は「豊富な土地を持たざる」デベロッパーとして出発し、マーケットを機敏に察知する力を強みとしてきた。マンション供給戸数では常に上位を占めるが、足元では供給余地が減少しているという。
2025年の供給実績と方針
2025年の新築マンション供給戸数(不動産経済研究所調べ)は、首都圏で2273戸となりランキングトップ、全国でも2位だった。中村副社長は「数を売ることを目的にしているわけではない。各エリアのマーケットを見て、どのエリアで事業を行うべきか検討して積み上げた結果だ」と述べ、目標数値を持たずに市場対応していると説明した。全国での新築マンション供給戸数はここ数年、3000~4000戸の間に落ち着いており、首都圏でも2万戸程度にまで減少しているという。
高額物件シフトと都心部需要
3カ年計画(26年3月期~28年3月期)では「最上級クラスの商品企画」で商品ラインナップを充実させるとしている。中村副社長は「株高による資産効果やダブルインカム世帯の賃金上昇などを背景に、都心部の需要が高まっており、建築工事費の上昇も進んでいる。郊外に比べて都市部での案件が成立する可能性が高くなっているのは事実。郊外での事業化が一時的に難しい局面だ」と指摘。結果として都心部や高額帯の物件供給が増えていると語った。
他デベロッパーとの違い
同社は旧財閥系とは出自が異なり、マーケット起点で商品づくりを行うDNAが根付いている。製造・販売・管理の一貫体制を早くから実現し、住まいに関わるニーズの変化に対応した商品を供給し続けてきた。近年は都心型戸建てや中古リノベーションマンションにも取り組みを広げている。



