奈良シニア大学を運営する矢澤実穂代表は、累積赤字1700万円という厳しい財務状況から黒字化を達成した。その原動力は、シニアが社会で活躍できる「居場所」を提供するという強い信念だ。彼女は、保育園でのボランティア活動中にシニア学生が子どもたちから「おじいちゃん、帰らないで!」と懇願されたエピソードを紹介。この経験から、核家族化が進む現代において、シニアと子どもたちの交流の重要性を痛感したという。
赤字からの転換点
奈良シニア大学は、設立当初から資金繰りに苦しみ、累積赤字は1700万円に達していた。矢澤氏は借金を返済しながら、運営を持続可能なものにするため、講座の多様化や会費収入の見直しを実施。その結果、黒字化に成功し、現在は安定した運営を続けている。
シニアの活躍が生む社会貢献
矢澤氏は、シニア学生が保育園で子どもたちと触れ合うボランティア活動を積極的に推進。あるシニア男性は、自分の孫からもこれほど求められたことがないと涙を浮かべたという。矢澤氏は「核家族化でシニアと子どもの交流が減っている。昔は寺子屋でお年寄りから昔話を聞いたものだが、今の子どもたちは日本の文化に触れる機会が少ない。シニアが日本の良さを伝え、若者がそれを世界で活かす仕組みを作りたい」と語る。
母の死と向き合う覚悟
矢澤氏の最大の理解者だった母親は、今年2月に交通事故の後遺症で亡くなった。7年間の延命治療の末の死だった。矢澤氏は「延命治療は父の願いだったが、母に7年もの苦しみを強いたことを申し訳なく思う」と述べ、目を潤ませた。彼女は「人の死に慣れたくない」と語り、その痛みを抱えながらも、シニアの人生を輝かせるために奔走し続けている。
10周年記念サミットで示す未来
奈良シニア大学は10周年を記念して「大人の学びサミット」を開催。多くの参加者が集まり、シニアの学びと交流の場としての重要性が再確認された。矢澤氏は今後、奈良でシニアがさらに活躍できる仕組み作りを目指し、地域社会との連携を強化する方針だ。



