東京23区における家賃の高騰が止まらず、住民の郊外への大移動が加速している。不動産コンサルタントの沖有人氏は、この現象が単なるトレンドではなく、構造的な変化であると指摘する。かつては職住近接や共働きのニーズから都心志向が強まったが、家賃の上昇がその流れを変えつつある。
世帯人員減少と都心志向の限界
過去には持ち家価格や家賃が上昇した時期もあったが、郊外に住む傾向は生まれなかった。その背景には、世帯人員の減少が大きく影響していると沖氏は分析する。4人世帯から3人世帯、3人世帯から2人世帯、そして単身世帯が増加する中で、職住近接や共働きのニーズが強まった。世帯に占める働き手の割合が増えれば可処分所得も増加し、世帯人数が少ないほど住み替えも容易になる。その結果、都心寄りに住む世帯が相対的に増えた。しかし、今回の郊外への移転は、その流れが限界に達したことを示している。
外国人も都区部から転出超過に
この人口動態を日本人と外国人に分けて見ると、より明確になる。なお、以下の数字は日本国内で住所を移した人の転入超過数であり、海外からの流入を示すものではない。
2024年5月までの直近12カ月では、首都圏全域の外国人の転入超過数は1万6936人。うち都区部が6625人、都区部以外が1万311人だった。しかし、2025年5月までの直近12カ月では、首都圏全域で9863人に減少。都区部は926人の転出超過に転じた一方、都区部以外は1万789人の転入超過を維持した。
この傾向はさらに進み、2026年5月までの直近12カ月では、首都圏全域の転入超過数は5147人まで減少。都区部は9442人の転出超過となる一方、都区部以外は1万4589人の転入超過となった。外国人の転入超過の中心は、都区部から都区部以外へと大きくシフトしている。
家賃高騰が外国人労働者の生活を圧迫
こうした動きの背景には、外国人労働者の家計事情がある。沖氏が行った外国人労働者へのヒアリングでは、仕送り額を重視する声が多く聞かれた。賃金が物価上昇以上に上がらなければ、仕送り額は減少してしまう。その中で、家賃の高騰は都区部での生活費上昇に直結し、仕送りを削る要因となる。家賃を下げるために郊外を選ぶのは、コスト削減の必要に駆られている面があると沖氏は指摘する。
このまま家賃高騰が続けば、都区部からの人口流出はさらに加速する可能性がある。郊外への移住は、住宅費の負担を軽減する有効な手段として、今後も多くの人に選ばれるだろう。



