熊本県は15日、県内の基準地価(7月1日現在)を発表した。県内自治体の全用途の平均変動率は1・3%で、5年連続の上昇となった。台湾積体電路製造(TSMC)が進出した菊陽町の変動率は4・8%、周辺の大津町や合志市はそれぞれ6・5%、4・4%。上昇傾向は続いているものの、上昇幅は縮小している。
住宅地の平均変動率は0・8%、上昇幅は縮小
住宅地の平均変動率は0・8%(前年比0・1ポイント減)で5年連続で上昇した。上昇率が最大となったのは「熊本市中央区新屋敷2―19―29」の9・7%で、1平方メートルあたりの最高価格は「熊本市中央区新屋敷1―10―23」の29万7000円だった。
下落率の最大は「天草市魚貫町前田1605」のマイナス3・9%で、昨年最大だった下落幅はさらに拡大した。市区町村別では熊本市中央区が5・7%(同0・1ポイント減)、大津町4・0%(同2・8ポイント減)、嘉島町3・7%(同0・7ポイント増)の順に高かった。
商業地は上昇幅が0・7ポイント減、人吉市は微増に転じる
商業地の平均変動率は1・8%で5年連続の上昇となったが、上昇幅は0・7ポイント減と縮小した。最高価格は33年連続で「熊本市中央区下通1―3―7」で、1平方メートルあたり250万円。同区の平均変動率は前年から横ばいの5・9%で、ホテル用地としての需要などで地価は上昇傾向を維持している。
2020年の九州豪雨で被災した人吉市は前年まで横ばいとなっていたが、0・7%で微増に転じた。治水事業や飲食店ビルの新設など復興にむけた動きが加速し、回復傾向がみられる。
工業地は10年連続上昇も、上昇幅は縮小
工業地は10年連続の上昇だが、平均変動率は6・2%(同2・1ポイント減)となり、上昇幅は縮小している。TSMC進出の影響で、周辺の市町では高い上昇率を維持。市区町村別では菊池市が26・0%で全国トップとなったほか、大津町22・9%、合志市20・8%がそれぞれ全国4、5位となった。
上昇率が26・0%と最大の「菊池市旭志川辺四東沖1126―7」は、全国でもトップだった。
専門家は需要一服感と将来期待を指摘、地震影響は未反映
調査した不動産鑑定士の堀裕之氏は「TSMC周辺の住宅地や商業地では不動産需要に一服感があるが、TSMCが3ナノ・メートルの先端半導体の量産計画を発表したことなどで将来への期待が再び高まっており、市場変化に耐えられる資本力のある事業者を中心に取引されている」とした。
今回の調査には、7月の熊本地震の影響は加味されていない。堀氏は、被害が大きかった地域は人口減少や高齢化で地価が下落傾向にあった地域とした上で、「復興が長引けば地価への影響もある」と懸念を示した。



