マンションの終活、建て替えか延命か 住人の共通認識が必要に
マンションの終活、建て替えか延命か 共通認識が必要に

高度経済成長期や第2次ベビーブームの前後に建てられたマンションが老朽化の時期を迎えている。国土交通省によると2024年末現在、分譲マンションの2割(148万戸)が築40年以上だが、建て替えは累計約2万6000戸にとどまる。

建て替えの現実と負担金の壁

神戸市の7階建てマンション(70戸)は2年前に再建された。5階建ての旧マンション(50戸)は1972年に完成し、築45年となった2017年に建て替えの検討を始めた。当初から賛成が大勢を占めたが、懸念は各戸の負担金だった。

建て替えでは解体費や建築費を所有者全員で負担する。旧マンションは容積率に余裕があり、階数を2階分高くして20戸分を増やせた。子育て世代に人気の立地で高めの分譲価格で売却できたため、負担金は大幅に軽減された。決議では区分所有者の5分の4以上が賛成し、転居を選んだ住人は転出補償金を得た。

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一方、大阪市中心部の築47年・約100戸のマンションでは、建て替えの想定負担金が1戸あたり3000万円となり、高齢の住人から「そっとしておいて」との声が上がった。結果的に建て替えは頓挫し、長寿命化に方針転換。国や大阪府などの補助金を活用して耐震工事を行っている。

長寿命化への取り組みと課題

神戸市の繁華街にほど近い築49年の第二花隈ダイヤハイツは、築60年まで維持管理を行う「60年居住宣言」を掲げる。宣言は2010年の管理組合総会で決議され、発案した住人の宮前行男さん(84)は「一通りの修繕を終え、ふとこれからこのマンションをどうすべきかを考えた」と振り返る。

近畿大准教授の佐野こずえさん(住宅計画)は「異なった価値観をもつ人たちが共に住む『マンションの終活』は、『人の終活』以上に難しい。建物をいつまでもたせるかというゴールをどこかで決めないと、問題の先送りになる」と指摘する。

法改正と今後の見通し

4月に施行された改正区分所有法では、所在不明の所有者を分母から除外できるようになり、建て替え決議がスムーズになった。耐震性不足や外壁の剥落で危険が及ぶ場合は要件が「4分の3以上の賛成」に緩和された。

神奈川県内の築59年のマンションで修繕委員長を務める男性(82)は「あと30年か40年、マンションの寿命が尽きるまであと何度、大規模修繕をすればよいのか。未知の領域を進んでいく不安がある」と語る。

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