米国下院は、トランプ前政権下で成立した個人減税の大部分を延長する総額4.5兆ドル(約680兆円)の大型法案を、週内にも可決する見通しとなった。与党共和党は、この減税延長を経済成長の原動力と位置づけ、早期成立を目指している。
法案の概要と規模
法案は、2017年の税制改革法で導入された個人所得税の税率引き下げや、遺産税の免税枠拡大などを10年間延長する内容。法人税の引き下げは恒久化される。議会予算局(CBO)の試算では、今後10年間で連邦債務が5兆ドル以上増加する見込み。
下院歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党)は「この減税は中間層の可処分所得を増やし、企業投資を促進する」と強調した。一方、野党民主党は「富裕層向けの減税が財政赤字を拡大させる」と批判している。
財政赤字への懸念
米国の連邦債務は既に36兆ドルを超え、対GDP比は120%に迫る。減税延長により、2026年度の財政赤字は2.5兆ドルに達するとの試算もある。非党派の責任ある連邦予算委員会(CRFB)は「このままでは社会保障や国防費にしわ寄せが行く」と警告。
しかし、共和党指導部は「減税による経済成長が税収増をもたらす」と反論。財務省の試算では、減税延長によりGDP成長率が年平均0.3ポイント押し上げられるとしている。
今後の見通し
下院通過後、法案は上院に送られる。上院では共和党が過半数を占めるが、財政保守派から反対が出る可能性がある。上院議員の一部は「財政規律を重視すべきだ」と述べており、修正協議が行われる見通し。
バイデン大統領は「この減税は最も裕福な1%に恩恵をもたらす」として拒否権を行使する方針を示している。そのため、最終的な成立には超党派の合意が必要となるが、現時点では不透明だ。



