トヨタ自動車と日産自動車が、電気自動車(EV)向けの次世代電池「全固体電池」の共同開発で基本合意したことが、複数の関係筋への取材で明らかになった。両社は2028年の実用化を目指し、生産技術の確立やサプライチェーンの構築で協力する。業界では、全固体電池の実用化競争が激化しており、日本勢が連携して海外メーカーに対抗する狙いがある。
全固体電池の優位性と課題
全固体電池は、従来のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が高く、航続距離の大幅な延長が期待される。また、電解質が固体であるため、発火リスクが低く、安全性にも優れる。一方で、製造コストが高く、量産技術の確立が課題となっている。トヨタはこれまで、全固体電池の研究開発で先行しており、2021年には試作品を公開。日産も2024年度にパイロットラインを稼働させる計画を発表している。
協業の背景と狙い
両社の協業は、EV市場の競争激化を受けたものだ。中国のBYDや米国のテスラが急速にシェアを拡大する中、日本メーカーは技術面での優位性を確立する必要に迫られている。全固体電池は、EVの航続距離や充電時間を劇的に改善する可能性があり、日本勢が競争力を取り戻す鍵と見なされている。トヨタの関係者は「単独で全てをやるより、知見を共有して開発を加速する方が得策だ」と述べている。日産の広報担当者も「全固体電池の実用化には業界全体の協力が不可欠であり、今回の合意はその第一歩だ」とコメントした。
実用化へのロードマップ
両社はまず、共同で生産技術の研究に着手し、2025年までに試作ラインを立ち上げる計画だ。その後、2028年までに量産技術を確立し、トヨタと日産のEVに搭載することを目指す。また、サプライチェーンの構築では、材料メーカーや装置メーカーとの連携も視野に入れている。経済産業省は、全固体電池を国家戦略の一つに位置づけており、国内の電池産業の競争力強化に向けて支援を検討している。
業界への影響と今後の展望
今回の協業は、自動車業界に大きな波紋を呼んでいる。競合するホンダやマツダなども、全固体電池の開発を進めており、今後の連携の動きが注目される。また、電池メーカーのパナソニックやGSユアサなども、自動車メーカーとの協業を強化する可能性がある。アナリストは「日本勢が連携することで、全固体電池の実用化が加速し、EV市場における日本の存在感が高まるだろう」と分析している。一方で、技術的なハードルは依然として高く、量産コストの低減や耐久性の確保など、解決すべき課題は多い。



