トヨタ自動車とドイツBMWグループは、水素エンジンの開発で提携することを発表した。両社は2025年以降、燃料電池車(FCV)と水素エンジン車を市場に投入する計画で、欧州と中国の脱炭素需要を取り込む狙いだ。
提携の背景と目的
トヨタはこれまで水素エンジン車の開発を進めてきたが、BMWとの提携により技術開発を加速させる。BMWは2025年に水素エンジン車の量産を目指しており、トヨタの燃料電池技術を活用する。両社は水素エンジン車の共通部品の開発や、水素供給インフラの整備でも協力する。
欧州連合(EU)は2035年までにガソリン車の新車販売を禁止する方針を示しており、中国も2035年までに新車販売の50%を電動車とする目標を掲げている。水素エンジン車は、電気自動車(EV)と並ぶ脱炭素の選択肢として期待されている。
トヨタの水素戦略
トヨタは2014年に世界初の量産型FCV「MIRAI(ミライ)」を発売し、水素エンジン車でも先行している。2023年には水素エンジンを搭載した「GRヤリス」を開発し、レースに出場している。トヨタの豊田章男会長は「水素は日本のエネルギー安全保障にも貢献する」と述べている。
しかし、水素エンジン車の普及には課題も多い。水素の製造コストが高く、充填インフラも不足している。日本では現在、水素ステーションは約160カ所しかない。トヨタはBMWとの提携で、これらの課題を克服したい考えだ。
BMWの狙い
BMWは2025年に水素エンジン車「iX5 Hydrogen」の量産を計画している。同車はトヨタの燃料電池スタックを搭載し、航続距離は500キロメートル以上とされる。BMWのオリバー・ツィプセ会長は「水素はEVと補完的な関係にある」と述べ、両技術の両立を目指す。
BMWは中国市場でも水素エンジン車の販売を計画しており、現地のインフラ整備を支援する。中国は世界最大の自動車市場であり、水素エンジン車の需要が拡大すると見込んでいる。
業界への影響
トヨタとBMWの提携は、自動車業界の脱炭素競争に新たな波紋を広げている。米国や中国の自動車メーカーも水素エンジン車の開発を進めており、技術競争が激化している。水素エンジン車の市場は2030年には年間100万台に達するとの予測もある。
一方、EVへのシフトが加速する中、水素エンジン車の立ち位置はまだ不透明だ。トヨタとBMWは、水素エンジン車が商用車や長距離輸送でEVを補完する役割を果たすと見ている。両社の提携が水素エンジン車の普及を促進するかどうか、注目される。



